平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−8

専門分類

1

研究課題名

乱数に対する逆サイン法則とその応用

フリガナ

代表者氏名

タカシマ ケイゾウ

高嶋 恵三

ローマ字

所属機関

岡山理科大学

所属部局

応用数学科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

モンテカルロ法などの統計理論の応用による数値計算において乱数は必要不可欠である。本研究では離散確率過程の重要なモデルであるrandom walkの汎関数を用いる乱数の統計的検定の理論的研究とその応用についての研究を目的とする。特に広く実用に供されているM系列擬似乱数と代数的拡大体の理論との関連について研究する。さらに、統計数理研究所の物理乱数の検定についての応用も研究する。


擬似乱数に対して random walk の見本関数の汎関数を用いた統計的検定を行うことにより広く用いられている、M系列擬似乱数や加算生成法などが統計的偏りを示すことを確認し、その現象の代数的説明を試みた。具体的には、原始5項式に基づくM系列が random walk の見本関数の汎関数、Hamming重みや最大値、滞在時間などに対して統計的偏りを示すことを示した。
この現象はM系列の Hamming重みの理論的分布は特性多項式で割り切れる多項式の数や次数によって決定されることに関係するものと思われる。しかしながら、例えば滞在時間の経験分布の統計的偏りは理論的に予想される偏りより大きくずれることも観測された。
さらには原始5項式に基づくM系列とその反転5項式に基づくM系列では Hamming 重みの理論分布は同じであり、経験分布も同様の分布となるが、最大値や滞在時間の経験分布はいくつかのM系列で大きく違うことも観測された。これは代数学的には原始多項式とその反転多項式とで異なる性質を持つことを示唆しているが、このような事実は理論的には知られていない。このように代数学的に非常に興味深い事実が観測された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Keizo Takashima, On Hamming weight test and sojourn time test of m-sequences, Monte Carlo Methods and Applications, vol.2, No.4, 1996.
Keizo Takashima, Last visit time tests for pseudorandom numbers, Journal of the Japanese Society of Computational Statistics, vol.9,No.1, 1996.

Keizo Takashima, On random walk tests for pseudorandom numbers, Workshop on pseudorandom number generation, CRM Montreal Univ., June 3-21, 1996.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成4年度からの共同研究により、1次元random walkの汎関数の理論を応用した、擬似乱数の統計的検定を研究してきたが、M系列擬似乱数などへの応用を通じて得られた結果についての、理論的考察を基に、有限体上の多項式に関する予想などについても研究する。これらの理論的研究と共に実際の数値実験やMathematica, Mapleなどの数式処理ソフトを利用しての計算機実験を行う。これらの実験を通して得られる、random walkの汎関数に関する考察を物理乱数などに対する数値実験の結果に適用し、それらの乱数のrandomnessについて研究する。特に、hitting timeなどのMarkov time は確率過程の理論的研究において重要な役割を担っているだけでなく、simulationにおいても必要不可欠な概念である。これらについての研究と応用を目指す。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

清水 良一

統計数理研究所