昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−2

専門分類

1

研究課題名

幾何学的構造の確率模型

フリガナ

代表者氏名

イトウ ヨシアキ

伊藤 栄明

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

幾何学的構造についての統計的解析の基礎となる確率模型について研究する。幾何学的対称性についての統計的分布,ランダムな点配置のボロノイ分割の最適化,ひずんだ空間でのランダムウォーク等の問題を例にとり確率模型の提案及び解析を行う。
結晶学における統計データ,工学における統計的問題,固体物理における現象の解析等への応用をめざす。


本年度は,以下のように研究を行った。
1.結晶における原子の配列を解析する際に空間群はもちいられる。結晶の対称性は230個の空間群のいずれかによりあらわされる。今までに解析された結晶について,各空間群の頻度を求めることができる。多く存在する群は,群として生成されやすいと考え,生成されやすさということについてのモデルをつくった。ランダムに対称操作が加わって得られたものが,各結晶の空間群であるというモデルを提案した。今年度は空間群の基本となる点群にもとづいて研究した。
2.Voronoi−Delaunay分割における最適化問題は多種多様であるが,大別して二つのタイプに分類される。あるVoronoi領域内の点とその母点との距離を最適化する場合(第1種)と,隣接する母点(あるDelaunay図形の頂点)間の距離を最適化する場合(第2種)があるが,それぞれの場合について解析的方法およびシュミレーションにより最適配置を研究した。
3.幾何学的に乱れた格子における量子波動を調べた。無限の2次元格子に回位を導入しそれによる散乱に対するLippinan Schwinger方程式を数値計算で解析し,平面波が散乱されて下流側に陰の部分(振幅の小さい部分)ができること,そしてその波数依存性を調べた。これは,幾何学的な乱れによるdestructive interferenceを表わしている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

伊藤栄明
「トポロジカルに乱れた系における量子的波動」
統計数理研究会記録「幾何学的構造・空間パターンと統計」に掲載予定
幾何学的対称性の統計的分布
統計数理・投稿中
Golay code and random packing
Ann.Inst.Statist.Math.B.投稿中
堀素夫
「ランダムなVoronoi分割とその最適化」
統計数理研究会記録「幾何学的構造・空間パターンと統計」に掲載予定
北原和夫


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

幾何学的構造についての統計的研究は従来から統計数理研究所における重要な研究課題とされてきた。ランダムパッキング,ボロノイ分割,幾何学的対称性等についての研究が行われている。
昨年度はシンポジウム「幾何学的構造と空間パターンの統計的モデル」がひらかれた。そこにおける討論を個別研究として発展させる。計算機プログラム作成補助謝金,文献収集等に校費をあてる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北原 和夫

東京工業大学

堀 素夫

東京工業大学