平成18（2006）年度　一般研究２実施報告書

 

課題番号

18−共研−2036

専門分類

7

研究課題名

医療サプライチェーンとしての病棟運営評価方法について

フリガナ

代表者氏名

オオノ　ユウコ

大野　ゆう子

ローマ字

Ohno,　Yuko

所属機関

大阪大学

所属部局

大学院医学系研究科

職　　名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅　費

60千円

研究参加者数

3　人

 

 

 

研究目的と成果（経過）の概要

背景と目的
病棟において最適な治療を安全かつ随時提供できる運営状況にあるか評価する指標を見出すことを目的とし、本研究を開始した。しかし、新研修医制度による大学附属病院における研修医不足、地域医療機関からの医師引き上げ、少子化による小児科および産婦人科専門医の不足による診療科閉鎖、さらに診療報酬制度改定を引き金とした一部の大病院による看護師大量採用、波及効果として中小病院における離職・高齢看護師の再採用などが急激に表面化し、一病棟の力で医療サービスの安定供給を図ることは、もはや困難な状況となってきた。
　したがって本年度は、病棟、病院、地域、そして日本全体、それぞれのレベルでのサプライチェーンに関連した研究を並行して進めた。

成果
病棟レベル：病棟運営に関するモデル研究は看護師勤務スケジューリング問題が代表的で、1980年ごろから世界的に報告が出ている。勤務シフトの制約条件に加え、急な病欠、半日休暇など突発的な事由に対処しつつ一ヶ月の勤務状況をほぼ揃えることを目的にしたアルゴリズムとして発展しており、現在は任意の時点からスケジュールを組直す逐次決定法的な研究へと進んでいた。

病院レベル：病院機能の維持に関しては、あるがん拠点病院を対象に調査を行った。調査対象病院では各職種の業務について詳細な規定（job description)を整備し、看護師については技術達成目標として位置付け採用時から複数年度にまたがる研修計画を設定していた。相談業務については病院と独立した部署として運営されており、情報発信部門に組み入れられていた。

地域レベル：地域の医療レベル維持に関しては、大阪府がん登録をもとに小児がんと子宮がんについて検討した。小児がんは、罹患率が低い、いわゆる希少がんといわれるがんが多いため診療所レベルでは診断が難しい。子宮がんは他の部位よりも専門医が少ないとされている。両者について、患者居住地域と診断医療機関所在地および治療医療機関所在地との関係を検討し、がん医療の地域差について知見を得た。
　
全国レベル：全国レベルの医療需要として、がん部位別年齢階級別の１、３、５年有病数を2020年まで算出し、全部位では年間約8000人ずつ有病者増加が予想されることなどを見出した。

 

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

[論文]
1) 最新データを反映するperiod法によるがん患者の生存推計−長崎県がん登録女性肺がんを例として,伊藤ゆり, 大野ゆう子，早田みどり，大島明, 癌の臨床, 52, 2, pp.97-102, 2006.
2) The trend of the effect of surgical volume up to 5 year after resection for stomach and lung cancer patients, Saika Kumiko, Ohno Yuko, Tanaka Hideo, Hasegawa Toshihiko, Tsukuma Hideaki, and Oshima Akira, ITヘルスケア, 1, 25, pp.42-49. 2006.
[講演]
1) 大阪府がん登録から見たがん羅漢の将来予測, 大野ゆう子, 2006年度上半期OPTA量子線がんセミナー, 大阪, 2007.
[報告書]
1) 大阪府がん登録から見たがん罹患の将来予測, 大野ゆう子, 三輪のり子, 2006年度上半期OPTA量子線がんセミナー報告書, pp.55-58, 2007.
[学会発表]
1) 全国におけるがん5年有病者数推計〜方法論の検討と将来推計〜（１）, 池田明日香, 大野ゆう子, 松井梨枝子, 大島明, 示説発表, 第65回日本公衆衛生学会総会, 富山, 53, 10, pp.283, 2007.
2) 全国におけるがん5年有病者数推計〜方法論の検討と将来推計〜（２）, 松井梨枝子, 大野ゆう子, 伊藤ゆり, 大島明, 示説発表, 第65回日本公衆衛生学会総会, 富山, 53, 10, pp.612, 2007.
3) 大阪府における肝がんの治療方法の推移とその予後について, 田端奈々, 大野ゆう子, 伊藤ゆり, 雑賀公美子, 大島明, 示説発表, 第65回日本公衆衛生学会総会, 富山, 53, 10, pp.283, 2007.
4) がん罹患率ＡＰＣ分析をもとにしたがん罹患年次変化のクラスタ分析, 三輪のり子, 大野ゆう子, 医学統計研究会ウィンター・フォーラム, 大阪, 2007.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

　なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中村　隆

統計数理研究所

門田　守人

大阪大学