平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2034

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

抽出の枠がない場合の個人標本抽出方法の基礎的検討

フリガナ

代表者氏名

テイ ヤクグン

鄭 躍軍

ローマ字

ZHENG Yuejun

所属機関

同志社大学

所属部局

文化情報学部

職  名

教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では、申請者が提案したエリア・サンプリングの誤差問題および実用可能性を、実際の調査データに基づく統計学的検証を行うことで、名簿がない場合の個人標本抽出の誤差発生メカニズム及び回避方法を解明する。具体的には、以下の1)〜4)に重点を置き、方法論的展開をはかる。
1) 確率標本法の必要な要件を踏まえ、個人名簿がない場合の個人標本抽出法の理論的枠組を構築するための基礎研究を重点的に展開する。
2) これまで住民基本台帳に基づく標準的標本抽出法と、住宅地図を用いたエリア・サンプリングによる実証的な調査に平成21年度の新たな調査データを加えて、比較分析を行うことで、エリア・サンプリングの問題点を明確にする。
3) 母集団と標準的標本調査法に関する基礎データとの比較で、明らかにしたエリア・サンプリングにともなう標本誤差および非標本誤差の発生に、影響を与える諸要因を特定する。
4) 標本抽出と調査実施にともなう各種誤差を制御できる、エリア・サンプリングの操作アニュアルの作成を目指す。
全体的には、理論的な検討と実験的面接調査によって得られた調査データの分析を中心に、本共同利用研究を展開する。
以上の研究目的を踏まえ、平成21年度に東京都から収集した実際の調査データの分析に重点を置き、研究活動を展開してきた。
1) 標本調査法に則った調査データに基づき、提案する標本抽出法の母集団に対する推定の精度、標本誤差および非標本誤差などの諸問題を統計的に分析した。
2) 調査地点において作成した住宅配置図や名簿を基に、世帯標本と個人標本を統計的に無作為に抽出するための効率的な個人標本抽出法を考案した。
3)住宅地図と現地状況の不一致(住宅地図の鮮度問題)による誤差、住宅地図からリストアップされた世帯一覧表とそこに居住している世帯とのズレが世帯抽出に与える影響を検討した。
4) これまで用いた誕生日法(基準日から最も早く誕生日を迎えてくる成人を標本個人とする)による個人抽出の恣意性、調査員が直接標本個人を抽出した場合の訪問時間帯と在宅率との関連性を実際の調査データにより分析した。
5) 標本世帯の通し番号と世帯の成人構成員数を基に発生させた乱数による個人抽出の応用可能性を検討した。
なお、国内外の研究集会において一連の結果を発表すると同時に、抽出名簿がない場合の標本抽出法の操作指針を取りまとめた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

〔論文発表〕
1. Zheng Y.(2010): Association Analysis on Pro-environmental Behaviors and Environmental Consciousness in Main Cities of East Asia, Behaviormetrika, Vol.37(2):55-69.
2.Zheng Y.(2010): Cross-cultural Comparison on East Asian Environmental Sensitivity based on Survey Data, Proc. of China-Japan Symposium on Statistics, Vol. 10: 336-339.
3.鄭躍軍(2010):データから語る東アジアの文化変容−宗教・国家・国際化に対する意識を中心に−. 復旦大学日本研究センター第20回国際シンポジウム論文集:230-239.
4. 鄭躍軍(2010):日中都市部住民の環境意識に関する統計的比較分析, 2009年度統計関連学会連合大会報告集: 67.
5. 鄭躍軍(2010): エリア・サンプリングにおける誤差問題の実践的検討と考察,第38回日本行動計量学会大会発表論文抄録集: 218-221.

〔図 書〕
1. 鄭躍軍(2010):「地球環境学事典」,総合地球環境学研究所編集,554-555, 弘文堂,pp554-555, 651pp.
2.吉野 諒三編(2010): 「環太平洋価値観国際比較調査 総合報告書」, 統計数理研究所, 吉野諒三編, 443pp..
3. 吉野 諒三・山岡 和枝・林 文(2010):「国際比較データの解析?意識調査の実践と活用」,朝倉書店,208pp.

〔学会発表〕
1. 鄭 躍軍: 日中都市部住民の環境意識に関する統計的比較分析,2010年度統計関連学会連合大会,2009年9月6日,早稲田大学(東京).
2. 鄭躍軍: エリア・サンプリングにおける誤差問題の実践的検討と考察,第38回日本行動計量学会大会, 2010年9月24日,埼玉大学 (埼玉).
3. 鄭躍軍:データから語る東アジアの文化変容−宗教・国家・国際化に対する意識を中心に−,復旦大学日本研究センター第20回国際シンポジウム,2010年11月20日, 復旦大学(中国上海).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

村上 征勝

同志社大学

山岡 和枝

国立保健医療科学院

吉野 諒三

統計数理研究所