平成23（2011）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	23−共研−2008		分野分類			統計数理研究所内分野分類			a
						主要研究分野分類			4
研究課題名	多種類の遠隔観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィー（３）
フリガナ 代表者氏名	ウエノ ゲンタ 上野 玄太				ローマ字		Ueno Genta
所属機関	統計数理研究所
所属部局	モデリング研究系
職　　名	准教授
配分経費	研究費	40千円		旅　費		104千円		研究参加者数		4　人

研究目的と成果（経過）の概要

　電波および光を用いた多種類の遠隔観測によって得られる積分量から、電離圏内の電子密度の３次元分布とその時間発展をトモグラフィーにより推定する事を目的とする。
　高度100km から1,000kmにかけて広がる電離圏における電子密度の観測において、電子密度ではなく、その積分量を測定する遠隔観測は、視線方向の距離を分解する必要がないため、信号の受信だけで測定可能であり、非常に容易である。そのため、様々な観測手法で大量の観測データが取得されつつある。これらの観測は、電波遅延の測定によるものと大気光の輝度の測定によるものの二つに分けられる。電波遅延の測定には、測位システム、海面高度計、合成開口レーダー、ビーコンなどの様々な目的で人工衛星から出されている電波が利用されている。大気光測定も地上からの観測だけではなく人工衛星からの観測も進められている。本研究では、先行研究で開発したGPSデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィーの手法を応用して、これらの多種類の遠隔観測による積分値観測データから電離圏内の電子密度の３次元分布とその時間発展の推定を行った。
　平成23年度までに開発を行った、地上に設置されたGPS受信機からのデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィーのアルゴリズムを元に、様々な条件で測定される多様な観測データを用いるトモグラフィー・アルゴリズムの開発を進めた。特にGPS受信機が多数利用できる日本上空のトモグラフィーだけではなく、アメリカ域、ヨーロッパ域における観測データを用いたトモグラフィーを行った。観測点密度や観測条件の違いによるトモグラフィーの格子間隔の変更、対象とする現象の特性時間に対応した時間分解能の変更等を進めた。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

A. Saito, H. Eto, T. Tsugawa and G. Ueno, Ionospheric Tomography with Constrained Least-squares Method using GPS Total Electron Content Data, Asia-Pacific Radio Science Conference, 2010
A. Saito, H. Eto, T. Tsugawa, M.Nishioka and G. Ueno, Ionospheric Tomography using GPS Total Electron Content data with Constrained Least-squares Method, Committee on Space Research (COSPAR), 2010.
A. Saito, T. Tsugawa and G. Ueno, Ionospheric tomography using ground-based GPS receiver networks in Japan, America and Europe,日本地球惑星科学連合大会, 2011.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
秋谷 祐亮	京都大学
五井 紫	京都大学
齊藤 昭則	京都大学