平成242012)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

24−共研−23

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

北極海生態系を表現したモデルの開発

フリガナ

代表者氏名

テルイ タケシ

照井 健志

ローマ字

Terui Takeshi

所属機関

国立極地研究所

所属部局

北極観測センター

職  名

特任研究員

 

 

研究目的と成果の概要

 近年、北極海における急激な海氷の減少が進行しているが、海洋生態系にどのような影響を及ぼすのか、その知見はあきらかとなっていない。そこで本研究では、北極海における生態系の構造を調べるため、海氷減少の影響が顕著である北極海季節海氷域をターゲットに、北極海の低次生態系を模した海氷ー海洋生態系モデルを開発した。
 作成したモデルの特徴は、従来の海洋生態系に含まれなかった、アイスアルジーと捕食者である端脚類をモデルに含めたことである。これらは海氷直下において主要な一次生産者と二次生産者であり、魚や海鳥にとって重要な餌生物である。また既存の海氷生態系モデルでは、アイスアルジーのみを表現したものがほとんどであり、捕食者も含めた生態系モデルは世界でも類を見ない。この捕食者を含めることで、一次生産者から二次生産者へ、どれだけ生産量が転送されているのか、モデルで調べることが可能になった。
 しかしながら、この生態系モデルに用いた設定について、検証も同時に必要であるため、実際に観測されたデータと比較しつつ、モデルの妥当性について感度解析を行いながら検証し、定量的な生産量の輸送量を明らかにする予定である。