平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−90

専門分類

7

研究課題名

ヒトの発育の時系列解析

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ マサコ

小林 正子

ローマ字

所属機関

国立公衆衛生院

所属部局

母子保健学部

職  名

室長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

発育は時間と共に変化する現象であるから、その解析には時系列解析が必要である。しかし日本でも世界でもそのような研究は少ない。そこで本研究は時系列解析プログラムセンサス局法X-11、BAYSEA、DECOMPによってヒトの発育を解析してきた。そして、これらは何れも発育に現れる波動の解析に有効であることが分かった。1日2回測定の対象も4人に増えたので、今後もAR過程の波動を分離できるDECOMPによる解析を継続したい。


時間と共に変化する現象は時系列解析で解明することが必要であり、発育もその一つである。そこで、ヒトの発育を非定常時系列解析プログラム DECOMP によって解析した。
解析対象は、同胞5人の四半世紀に亘る身長・体重の月次測定データ、および姉妹2組の3〜5年継続した起床後と就寝前の1日2回計測データである。今回の解析では特に AR(自己回帰)過程に注目し、身長と体重の AR 過程の相違などについて検討した。
【結果と考察】
1971年より、5人の小児(同胞)を対象とした発育測定を開始した。CENSUS 局法や BAYSEA でデータを解析すると、定説に反して多くの波動が現れた。しかし、その波動は、DECOMP によって AR 過程を分離すると消えて、トレンドが滑らかになることが分かった。
そこで、原時系列から周期成分と不規則成分を除いたものには、トレンドと AR 成分などが残ると考えられる。また、トレンドと AR を合計を合計した波動は、原時系列に非常に近いものであり、測定値はこれらの2成分が多く含まれると考えることができる。
AR 成分の身長と体重における違いは、身長の方が体重に比べて波動が少ないが、AR の次数がはっきり定まらないことと、体重では、AR を除いた後でも波動が少し残ることなどである。これは披験者によっても異なるが、明らかな理由はまだ解明できない。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

A Study on Growth in Two Children, Using the Timeseries Analysis Program 'DECMP' American Journal of Human Biology に発表予定

東郷正美「子どもの発育学 どう役立たせるか」第62回日本民族衛生学会 特別講演 97, 11. 6, 前橋.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1)昨年に引き続き、1971年から測定した5人の同胞の身長・体重の月次データに加えて、その他の発育変数についても、DECOMPを用いて解析する。2)発育期から成人へ移行する過程で波動の形も変化している。AR過程や季節変動成分の変化を捉え、移行期の姿を把握すると共に、AR過程が示す波動の生物学的意味を理解する。3)小児4人を対象に1日2回の測定が行われている。これらの記録をDECOMPで解析して発育に関する新しい知見を得る。以上はいずれも貴研究所の時系列解析の専門家との共同研究によってはじめて実りあるものになると期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岩城 淳子

東京大学大学院

北川 源四郎

統計数理研究所

東郷 正美

神戸大学