昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−91

専門分類

8

研究課題名

多変量データ解析手法の実証的調査研究

フリガナ

代表者氏名

ムトウ タカノリ

武藤 孝典

ローマ字

所属機関

信州大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

社会調査データの統計的解析には,数量化法,MDA(最小次元解析法)など様々な手法が用いられ,有益な知見を得ることが多い。本研究では,多変量データ解析手法の有用性・安定性を検証することを目的とし,3,4の代表的地域において補充調査ならびに有識者へのデルファイ法によるインタビューを行ない,地域社会学,教育社会学の立場からの考察を行なう。


1986年度に実施した長野県の郷土と文化に関する意識調査を受けつぎ,1988年度の共同研究では,特に長野県下伊那郡松川町および佐久市において,郵送調査(標本抽出による)ならびに地域のリーダー層に対する面接調査を実施した。前回の調査において,松川町の場合にはわずかに10数名の調査対象者ながら,その生活意識には特色が見られたからである。両地域それぞれ220名を抽出し,松川町では138名,佐久市では125名の有効標本を得た。(別に補充調査を実施)
両地域間には,(1)自己の主張等に関する質問項目群,(2)教育県等に関する質問項目群,(3)文化活動に関する質問項目群,(4)社会的成功に関する質問項目群において,特色が見いだされた。松川町では,(1)自己を主張,(2)教育県と思う,(3)文化活動の水準に満足,(4)社会的成功には努力が大切,などである。
両地域住民の生活意識の特色をさらに浮きぼりにするために,(1)の質問項目群においては,MDA−OR(百分率をデータにして地点間の距離関係を算出)および数量化III類分析,(4)においては,MDA−OR(相関係数をデータにして質問(選択肢)項目間の距離関係を算出)により分析を行なった。なお,(1)のMDA−ORによる解析には,1986年度調査からデータを補充した。
(1)においては,1986年度調査に示された長野県全体の傾向に比べ,松川町では「自分の立場が不利になる時で主張」がきわ立っている。また,(4)においては,「子供の教育には生活を切りつめてもお金をかける」「長野県を教育県とは思わない」「社会的成功には努力が必要」等の意見が中心的位置を占めていることが明らかになった。
これらの傾向は,リーダー層を対象とした面接調査の結果と合致するが,今後さらに詳細な考察を進める予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

信州大学教育学部研究紀要および放送大学研究紀要に論文掲載を予定。また,日本教育社会学会大会において研究発表を予定。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

昭和61年度に実施された長野県の郷土と文化に関する意識調査は,各種統計手法を用いた解析を行ない,ことに数量化法ならびにMDA(最小次元解析法)により,長野県民における学歴主義意識や理屈っぽさの意識などの構造を明らかにした。その際,61−共研−65の援助により,長野県における標準的な地域層別を確認することができた。しかし標本調査の限界として,市町村レベルでの特色はぼんやりとした形でしかとらえられていない。本研究では,文化的に特色あるいくつかの代表的な地域において,61年度調査の補充調査ならびに有識者を対象にしたインタビュー調査を行ない,地域社会学,教育社会学的見地からの検討を行なう。本研究は,統計情報の社会科学における活用を計るものであり,統計数理研究所との共同研究にふさわしいと思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡崎 友典

放送大学

鈴木 達三

帝京平成大学

長坂 建二

放送大学