平成262014)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

26−共研−2051

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

7

研究課題名

抗菌薬処方による多剤耐性菌の発現リスクの検証

フリガナ

代表者氏名

フクダ ハルヒサ

福田 治久

ローマ字

Fukuda Haruhisa

所属機関

九州大学

所属部局

大学院医学研究院医療経営・管理学講座

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

33千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は,既に申請者が収集していた,16病院において2007年7月から2011年12月に入院した症例の「DPCデータ」と「JANISデータ(細菌学的検査データ)」を用いて,両データを患者レベルで突合させたパネルデータセットを構築し,抗菌薬使用状況と耐性菌発現状況の関連性を分析することである.
 2014年度は,抗菌薬使用状況と耐性菌発現状況の関連性を分析するためのデータセットを用いた解析フェーズと位置づけ,先行研究において最も強い関心が向けられている緑膿菌(P. aeruginosa)を対象に,月別に数量化した「カルバペネム系抗菌薬のAUD」と「カルバペネム系抗菌薬の緑膿菌に対する耐性率」を検証した.
 本研究が使用するデータは,病院や病棟レベルにおいて繰り返し測定されるデータであると同時に,患者レベルにおいては入院時から退院時まで繰り返し測定されるデータである.すなわち,パネルデータを時系列で構築可能なデータセットであるといえる.また,耐性菌が拡散するメカニズムは,耐性を有する細菌のプラスミドが別の細菌に移ることと考えられているため,抗菌薬の投与状況と耐性菌の発現には一定期間のラグタイムが生じると考えられる.先行研究ではARIMAを用いた時系列解析が採用されることが多いため,本研究においてもこれに倣ったものの,適合性の高いモデルを構築することができなかった.一つの可能性としては,耐性菌の発現機構に,抗菌薬投与密度以外の未解明の因子が含まれていることが挙げられる.そのため,2015年度においては,患者レベルの各種属性データを解析モデルに組み入れ,適合度の高いモデルを構築する.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1. 小原仁, 齋藤潤栄, 福田治久. ペニシリン耐性肺炎球菌感染による追加的医療資源:JANIS全入院患者部門データを用いた推定. 日本環境感染学会誌 2015; in press.
2. 福田治久. 疾患領域ごとの薬剤経済学の評価法と活用すべきデータの選択:病院感染症. In: 医療経済評価の具体的な活用法. 東京: 技術情報協会; 353-360. 2014.
3. 福田治久. JANIS手術部位感染部門データを用いた日本版標準化感染比算出モデルの開発. 第30回日本環境感染学会総会: 2015年2月20日, 神戸.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

該当なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

黒木 学

統計数理研究所