平成302018)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

30−共研−2065

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

2

研究課題名

離散型確率分布と連続型確率分布の接点に関する基礎的研究

フリガナ

代表者氏名

ツチヤ タカヒロ

土屋 高宏

ローマ字

Tsuchiya Takahiro

所属機関

城西大学

所属部局

理学部数学科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

37千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究目的】
 本研究はバケットソートの変形版を表す漸化式を基礎とする研究である.バケットソートとは並べ替えるデータの取りうる値がk通りのとき,あらかじめk個の入れ物を用意するか,あるいは動的に増やしながら,各々の数字に対応した入れ物にデータを入れていくデータの並べ替えのアルゴリズムである.本研究の発端は,n個の連続した数字がでたらめに並んでいて,これらの並べ替えを行うためのアルゴリズムを考えたことによる.あらかじめ用意する入れ物の数を決めず,最終的に必要な入れ物数がデータの初期状態に依存する変形バケットソートを考案し,その入れ物数を表す漸化式と離散型確率分布を導出した.これをEulerian分布と名付けた.Eulerian分布は離散型確率分布であるが,連続型一様分布にしたがう確率変数の和の分布と関連し,正規分布の近似が通常の漸近展開で非常に良い精度で得られる.このことを利用すると,良質な疑似正規乱数を生成することが可能となる.
 上記の研究概要を背景として,Eulerian分布とその漸化式の代数学・離散数学的補強を行い,離散型・連続型確率分布を接続する理論を構築するとともに,それに基づく疑似正規乱数生成器の構築と実装,高速化および他分野への応用を検討することが本研究の目的である.

【成果(経過)】
 Eulerian分布の正規分布近似が非常に良い精度で得られることを理論的背景として,高速な正規乱数を生成するアルゴリズムを提案し,その有効性と乱数生成時間の優位性について,様々な見地からシミュレーションによる検証を重ねている.また,離散型・連続型確率分布を接続する理論の構築については具体的な成果は得られておらず,現在検討中である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1] 二項分布からの正規乱数生成 (2018),中村永友,土屋高宏,札幌学院大学総合研究所紀要,5, 1-6.
[2] 欠番のあるデータの並べ替えアルゴリズムに現れる離散型確率分布 (2018),中村永友,土屋高宏,日本計算機統計学会 第32回大会,山口大学.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究共同者との研究打合せは実施したが,研究会は開催していない.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所

中村 永友

札幌学院大学