平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2011

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

7

研究課題名

トピックモデルを用いた金融市場分析

フリガナ

代表者氏名

モリモト タカユキ

森本 孝之

ローマ字

Morimoto Takayuki

所属機関

関西学院大学

所属部局

理工学部

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

30千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

・研究目的

本研究は,近年注目されているビッグデータ,とりわけテキストデータから得られた情報をトピックモデルにより抽出し,GARCH,SV といったボラティリティ変動モデルに組み入れることにより,ボラティリティ推定の精度が向上するかを理論的,実証的に検証することを目的としている.つまり,新聞の経済ニュース,電子掲示板の口コミ,Twitter といった情報が,金融市場の原資産価格変動の先行指標として,ボラティリティの動きに何らかの影響を与えるかについて研究する.また,ボラティリティ以外の金融時系列,例えば出来高,取引間隔といったデータへの影響についても分析を行う.

・研究成果(経過)

トピックモデルを用いた金融市場分析を実行するために,本研究では以下の項目を実行した.

1.データとしては,2008年1月7日から2012年12月28日までのロイターニュース日本語版記事を用いた.そして,新聞記事における文書がトピックと単語を表す確率分布に従って生成されたと仮定し,Iwata et al. (2010) が提案した Multiscale Dynamic Topic Model (MDTM) により,観測した文書からトピック分布,単語分布を推論しトピックスコア (SC) を算出した.

2.高頻度日内収益率の二乗和として計算される実現ボラティリティを予測するために,Corsi (2009) により提案された Heterogeneous Autoregression (HAR) モデルおよび Bollerslev et al. (2016) により提案された HARQ モデルを用いた.これらのモデルに対し,外生変数として上述のトピックスコアを用いたモデル HAR-SCおよび HARQ-SC モデルを構築した.

3.上記の HAR,HARQ,HAR-SC,HARQ-SC 各モデルの予測パフォーマンスを比較するために,2 つの誤差関数 MSE および QLIKE を用いた.結果としては,HAR-SC および HARQ-SC といった SC を外生変数として含めたモデルの方が概ね良好な予測パオフォーマンスを示した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

現在,研究成果を論文「Forecasting financial market volatility using a dynamic topic model」Takayuki MORIMOTO and Yoshinori KAWASAKI に纏め国際学術誌に投稿改訂中.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会の開催無し

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所

山下 智志

統計数理研究所