平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2067

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

英語心内辞書データの統計的解析

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ ケイ

小林 景

ローマ字

KOBAYASHI KEI

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

41千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の主たる目的は,母国語話者と第二外国語学習者の心内辞書,脳内辞書(mental lexicon)の相違を明らかにするための新しいデータ解析手法を提案することである.心内辞書の差異を明確化することは,外国語学習効率を高めるためにも重要である.具体的なデータは,日本人英語上級者,英語母語話者の各30名の被験者に,「封筒の中にある50個の英単語をあなたが考える意味のまとまりにグループ分けしてください.」という指示を与える.ただし,心内辞書が木構造(デンドログラム)によって表されているという言語学習分野で用いられる仮定を置く.デンドログラムはクラスター分析の手法として多変量解析で広く応用されているが,その結果の妥当性や,構成されたデンドログラムの差異に関しての統計的解析は十分にはなされてはこなかった.
本研究では,各被験者の単語分類結果を一つのデンドログラムとみなし,各群内においての各被験者のデンドログラムの分布の違いについて,並べ替え検定を用いた検定統計量を提案した.また,検定統計量の漸近的な一致性や有効性を証明し,特に群平均法とよばれるデンドログラム構成法が,射影性や局所線形性など好ましい性質を持つことを示した.さらに,デンドログラム全体の集合に自然に測地距離を導入すると,CAT(0)とよばれる数学的特徴をもつことを証明し,測地距離を用いた新しい並べ替え検定手法も提案した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[論文]

折田充, 小林景 (2013), 日本語の心内辞書と英語の心内辞書--日本人英語学習者における日英語間で対応する訳語関係にある高頻度形容詞群の意味的クラスタリング構造, 熊本大学社会文化, 11.

折田充, 小林景, 村里泰昭, 神本忠光, 吉井誠, Lavin, R. (2013), 語彙サイズと心内辞書内の意味的クラスタリング構造の関係, KASELE Bulletin, 41, pp. 1-10.

折田充, 小林景, 村里泰昭, Lavin, R., 吉井誠, 相澤一美 (2014), 英語母語話者と日本人英語学習者の心内辞書における語彙項目間類似度の比較, 熊本大学社会文化研究, 12., to appear.

[プレプリント]

Kobayashi, K. and Orita, M. (2014), Permutation test for dendrograms and its application to the analysis of mental lexicons, arXiv1403.2845

[学会発表]

折田充, 小林景, 村里泰昭, 相澤一美, 吉井誠, Lavin, R. (2013) 英語熟達度と心内辞書内の意味的クラスタリング構造の関係, 全国英語教育学会北海道研究大会.

小林景 (2013) 木構造およびクラスター構造をもつデータの測地的解析手法, p.313, 大阪大学, 統計関連学会連合大会, 2013.9.11.

Kobayashi, K. (2014) Hypothesis Testing for the Difference of Dendrograms, ISI-ISM-ISSAS Joint Conference 2014, ISI, Delhi, 2014.2.20.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催せず

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

折田 充

熊本大学