昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−1

専門分類

1

研究課題名

多変量非正規モデルにおける各種統計解析手法の研究

フリガナ

代表者氏名

コニシ サダノリ

小西 貞則

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

61年度共同研究(共研−3)の成果をふまえ,更にこれを発展させることを目的とする。具体的には,多変量正規モデルという仮定をはずしたもとで,推定値の信頼性の評価,予測誤差を数量的に評価する方法など,各種統計解析手法の研究を行う。さらに観測データが正規分布に従うという仮定を,計算機を用いた大量の計算でおきかえ分析を行うブートストラップ法あるいはジャックナイフ法を同種の問題に適用し,比較検討を行うことによって,非正規モデルのもとでも有用な統計手法を見い出すことを目的とする。


前年度の研究成果をふまえ,これを継続・発展させることを目的として研究を行った。このため,多変量解析における各種分析手法の基礎的・理論的研究に加えて,医学・生物資源データを収集し,統計手法を実際のデータ解析に適用した際の信頼性・安定性の評価考察も合せて行い,以下のような実績を上げた。
1.判別分析において,予測式として線形判別関数を用いた時の予測誤差を推定するためのいくつかの手法を変数選択の問題に適用し,非正規モデルのもとでも有用な手法を提唱した。判別手法を医学データに適用した際には,誤判別率を最小にする変数の組を求めるだけでなく,いくつかの検討が必要であるが,この点に関しては継続研究中である。
2.多変量解析において,分析の基本となるのが固有値・固有ベクトルである。そこで,特定の母集団確率分布を想定することなく,これらのパラメータに対する信頼区間を,精度よく構成するための方法を提唱した。さらに,計算機の利用を前提とした手法であるブートストラップ法による信頼区間の構成法との比較・検討および関連性の研究を行った。
3.経験分布関数の汎関数としての統計量の漸近分布に関する研究を行い,いくつかの新しい結果を導出することができた。
4.数式処理システムを活用して,各種統計量の分布の高次漸近展開式を導出するとともに,収束速度を著しく向上させる方法を提唱し理論的・実際的な側面からの有効性を確かめた。また,標本に対して対称性を持つ統計量のモーメントを求めるアルゴリズムを始めとして,数式処理システムの有効利用のためのアルゴリズムを開発中である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Konishi,S.and A.K.Gupta.(1988).Testing the equality of several intraclass correlation coefficients.To appear in J.Stat.Planning and Inference.
Honda,M.and Konishi,S.(1988).Comparison of variable selection procedures in discriminant analysis under nonnormal populations.Stat.Theory and Data analysis II.North−Holland Pub.Com.337−347.
Konishi,S.,Niki,N.and A.K.Gupta.(1988).Asymptotic expansions for the distribution of quadratic forms in normal variables.To appear in Ann.Inst.Stat.Math.
Aki,S.(1987).On nonparametric tests for symmetry.Ann.Inst.Stat.Math.Vol.39.,457−472.
Aki,S.and Hirano,K.(1988).Some characteristics of the binomial distribution of order k and related distributions.Stat.Theory and Data Analysis II.North−Holland Pub.Com.211−222.
Siotani,M.(1987).Multivariate Behrens−Fisher problem by heteroscedastic method.Advan.Multi.Stat.Analy.D.Reidel Pub.Com.327−340.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

多変量非正規モデルのもとでの各種統計解析手法の研究を,理論的側面からはもとより,計算機を用いた実験的側面に関する研究もあわせて行う。そのため研究を実施するに当っては,(i)理論面に関する新しい解析手法,アイデアの交換,(ii)多変量解析の研究上必要とされる数式処理システムの機能の整理と拡充,(iii)ブートストラップ法,ジャックナイフ法に代表されるノンパラメトリックな手法に関する計算機を用いた検証とその理論面の研究,(iv)導出された結果および統計手法に対する数値計算,シミュレーション実験を通しての検証,などを効率よく行うことが必要となる。そこで,この研究実施計画にそって,関連する分野の研究者を集め,互いに分担協力することによって研究を推進する共同研究として実施する必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

大阪大学

岩瀬 晃盛

広島大学

鎌倉 稔成

中央大学

塩谷 實

明星大学

戸田 龍樹

東京大学大学院

長尾 寿夫

大阪府立大学

中村 忠

島根大学

仁木 直人

東京理科大学

早川 毅

一橋大学

本多 正幸

千葉大学