平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2046

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

新生児の自発運動の解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

NAKANO JUNJI

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

68千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

胎児や新生児が、外から刺激を受けずに自発的に運動していることはよく知られている。その中でもGeneral movements(GMs) は、Prechtlらが、早期および満期産の新生児において、自発運動の中でも頻繁に出現し、区別できる運動パターンを見いだし、命名したものである。この自発運動は外的な刺激に関係なく、内因性に発生してくる運動活動であると考えられており、彼らのグループは、GMsの質の変化が胎児や早期産児の神経学的後遺症の指標になることを報告し、GMsの評価診断法を確立した。彼らはGMsを「全身を含む粗大運動で四肢いずれかの部分から始まり、次第に全体をスムーズに動かす一連の運動で、数十秒から数分続き、途中運動の強度、振幅、速度が変化する。運動の性質は優雅で流暢であり、複雑な指の運動や体の回旋運動を伴う。」と定義した。また、画像診断や従来の神経学的検査法に加え、乳児のGMsを評価することにより、将来的発達の予後予測の確実性が増加する、と報告している。
本研究ではこのように定性的に定義されるGMsを含む自発運動の特徴を、時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることを目的としている。具体的には、長野こども病院などで、ビデオ画像の2次元または3次元画像処理装置を用いて新生児の自発運動を測定し、特に未熟児のGMsをいくつかの条件の下で観測し、その数値データを蓄積する。そしてこれらのデータに対して統計的な処理を行い、定量的な分析を行った。さらに、極低出生体重(VLBW)児で、予定日前後にGMs評価を行い、さらに3歳時に健診を受診した症例において、各診断の関係を分割表であらわし、それを解析した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

小西行郎、小西薫著、赤ちゃんのからだBOOK、海竜社、2008

多賀厳太郎、乳児の運動発達における非線形力学と座標系、Equilibrium Res. 67、45-50、2008

大城昌平、木原秀樹(編)、新生児理学療法、メディカルプレス、2008

木原秀樹、中野尚子、高谷理恵子、廣間武彦、中村友彦、小西行郎、極低出生体重児のGeneral Movements(GMs)評価と3歳時の発達予後の関係、日本周産期・新生児医学会雑誌、第44巻3号、684ー688、2008

木原秀樹、中村友彦、廣間武彦、極低出生体重児のポジショニングが長期的な下肢の発達に及ぼす影響、日本周産期・新生児医学会雑誌、第44巻4号、1159ー1163、2008

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

GMs ビデオ記録検討および討論・2009年1月9-10日・統計数理研究所・4名

GMs ビデオ記録検討および討論・2009年3月7日・統計数理研究所・5名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

東京女子医科大学

多賀 厳太郎

東京大学

高谷 理恵子

福島大学

中野 尚子

東京女子医科大学