平成252013)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

25−共研−5007

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

データ解析環境Rの整備と利用

フリガナ

代表者氏名

ナカタニ トモアキ

中谷 朋昭

ローマ字

Nakatani Tomoaki

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院農学研究院

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

604千円

研究参加者数

18 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 データ解析環境Rは統計計算とグラフィックスのための言語・環境である。Rは多様な統計手法(線形・非線形モデル、古典的統計検定、時系列解析、判別分析、クラスタリング、その他)とグラフィックスを提供するオープンソースなソフトウエアとして、広汎な拡張が可能である。近年では、医学、薬学、疫学、統計学、経済学、言語学、地理学、心理学など多分野にわたって、世界中で利用されるようになってきており、Rは何らかのデータを扱う人々の世界的な共通言語であるといえる。
 日本においても、フリーでオープンソースであること、頻繁なバージョンアップやアドオンパッケージによって最新の統計手法がいち早く実装されること、オペレーティングシステムに依存しないマルチプラットフォームであること、日本語環境で利用できること、などの理由によって急速に普及が進んでいる。ここ数年、Rに関連した日本語の学術書・技術解説書が毎年10点近くも出版される状況を鑑みれば、日本におけるRの普及状況や関心の高さをうかがい知ることができる。
 以上のように、Rによるデータ解析・統計学の利用の裾野が広がっている現在、多くのユーザが集い、意見交換や情報を共有する物理的な機会を継続的に提供することは重要である。
 本研究の参加メンバーは、いずれも日本を代表するRユーザであり、Rを利用した教育活動、研究活動、業務活動に多くの実績を残している。本研究は、これらの成果や実践活動における工夫を多くのRユーザに広く開示し、それに関する議論をおこなう物理的な場の提供と、遠隔地に居住するRユーザへのインターネットを通じた情報提供を目的とした。

 本年度の研究集会は、11月29日から2日間にわたって開催され、海外からのスピーカーによるチュートリアル講演および国内ユーザ11名による実践的な成果の報告と、若手参加者5名によるLightning Talkが行われた。国内ユーザの報告は、統数研Ustreamチャンネルを通じてライブ配信された。研究集会への参加者は延べ65名、ネット配信ではユニーク視聴者数165、中継時間帯では常時20名以上が視聴するなど、遠隔地のユーザも含めて、Rや統計解析に興味を持つ幅広いユーザの関心を集めているといえる。
 2005年以降、Rに関する研究集会を継続的に開催してきたが、研究集会への参加人数は毎年着実に増加しており、ネット中継も含めれば、Rや統計解析に興味を持つ幅広いユーザの支持を得ているといえる。したがって、本研究集会は、Rに関する先端的な活用事例を周知する場としての役割だけでなく、異分野のRユーザや、統計解析に興味を持ち始めた初心者などが新たに交流を始める物理的な場として重要な役割を果たしており、その目的を十分に達成していると考える。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究集会案内および報告資料
<http://prcs.ism.ac.jp/useRjp/>

R関連の日本語情報源であるRjpWiki<http://www.okada.jp.org/RWiki/>における研究集会開催告知
<http://www.okada.jp.org/RWiki/?R%B7%C7%BC%A8%C8%C4#mf3baf87>

Ustream配信ページ
<http://www.ustream.tv/channel/rlangism>

研究集会のプログラムは、下記の通りである。
Program:
◯11月29日: 海外ゲスト講師によるチュートリアル講演 (英語)
場所:3階 セミナー室1(10.21 変更になりました)

Speaker: Professor Duncan Murdoch (Department of Statistical & Actuarial Sciences, University of Western Ontario, Canada)
<http://www.stats.uwo.ca/faculty/murdoch/>

29 November (Fri.)
10:00-10:55 Reproducible Research in R. Part I: using Sweave
11:05-12:00 Part II: Advanced Sweave, including patchDVI and RStudio
13:00-13:55 What's New in R 3.0.x
14:05-15:00 Beautiful tables in R: the tables package.
15:10-16:05 Writing Package Vignettes
16:05-16:20 discussion

◯11月30日(土) 国内ユーザによる報告
場所:3階 セミナー室1

09:25-09:30 開会挨拶および諸連絡
09:30-09:55 合崎英男(農村工学研究所)
RによるBest-Worst Scaling
09:55-10:20 中間栄治(Com-One)・中野純司(統数研)
ハイパフォーマンスコンピューティングのためのRhpcパッケージ
10:20-10:45 奥村晴彦(三重大)
TeX Liveと美文書第6版とR
10:45-11:00 休憩
11:00-11:25 中谷朋昭(北海道大)
仮想状況評価法のためのパッケージDCchoice
11:25-11:50 小池祐太・野村亮介(東京大院)
Rによる確率過程の統計解析
11:50-13:00 昼食
13:00-13:25 谷村晋(兵庫医科大)
Rによる多変量疾病地図
13:25-13:50 中澤港(神戸大)
人口モデルに基づくウクライナの人口予測
13:50-14:15 中野康人(関西学院大)
日刊新聞読者投稿欄の計量テキスト分析
14:15-14:30 休憩
14:30-14:55 藤野友和(福岡女子大)
Rによるインタラクティブグラフ生成とその応用
14:55-15:20 鈴木了太(ef-prime)
データ解析のためのR GUIフロントエンド
15:20-15:45 神田善伸(自治医科大)
Rコマンダーに多彩な解析メニューを追加したEZR(Easy R)の開発
15:45-16:00 休憩
16:00-17:00 Japan.R Lightning Talk 大会
Japan.Rから5名の若手による実践報告
17:00- 総合討論・閉会挨拶

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

アール コアチームメンバー ニ

The R Foundation for Statistical Computing

合崎 英男

農村工学研究所

石倉 究

北海道大学

岡田 昌史

筑波大学

奥村 晴彦

三重大学

奥村 泰之

医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構

神田 善伸

自治医科大学

里 洋平

株式会社ディー・エヌ・エー

鈴木 了太

株式会社ef-prime

田中 秀和

ナビプラス株式会社

谷村 晋

兵庫医科大学

中澤 港

神戸大学

中野 純司

統計数理研究所

中野 康人

関西学院大学

藤野 友和

福岡女子大学

Murdoch, Duncan

University of Western Ontario

牧山 文彦

サイテクカレッジ那覇