平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−31

専門分類

3

研究課題名

時系列解析支援システムの試作

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

時系列解析のための統計パッケージは多く存在しているが、ほとんどのものが手法中心に設計されている。そのため、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)をそなえていても、それは旧来のコマンド言語の置き換えにすぎず、それほど使いやすいとはいえない。われわれは、手法中心の設計を見直すことによって、解析の履歴に応じて適切なメニューを出してくれるような(知的な)時系列解析パッケージを作成したい。


昨年度から作成を開始した時系列解析支援システム TISAS は、統計計算のために統計数理研究所で開発された TIMSAC72 Windows 版のプログラムを利用したものである。ただし、システムとしての設計は GUI(Graphical User Interface) の利点を充分に利用できるようにオブジェクト指向の考え方を用いた。本年の最初までに、データや統計量を階層化されたアイコンで表示し、それをポインティングデバイスで指示することにより解析を進める、というところまで完成していた。したがって、本年度はこのシステムの完成度を高めるためのいくつかの機能を付加した。
まず、データの加工および数式による処理ができるようにした。変数変換や複数の変数を組み合わせて新しい変数を作成することができるようなメニューを作成し、それらがマウスの指示だけで利用できるようにした。また、解析の履歴を保存できるようにし、その復元も可能にした。これはすべての解析がメッセージ送信の形で行われているので、それらを記録し、マクロ言語とすることで実現した。さらに、各オブジェクトに付与されている解析メニューの変更を視覚的に行えるようにした。これは解析メニューが解析の順序を表しており、その方法は使用者ごとに異なると思われるので、自分の方針にあわせて容易に変更できるようにしたものである。
ただ、現在のところすでに組み込まれている統計手法の提示順序を変えられるにすぎず、手法そのものを新たに作成するための機能に関しては今後の研究課題としたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

小林郁典・中野純司、 重回帰分析支援システム RASS におけるプログラミング言語、統計数理 Vol. 45、 No.1、 掲載予定
中野純司、統計パッケージ SHAZAM の WWWインタフェース、 統計数理 Vol. 45、 No.1、掲載予定

山本由和・中野純司、視覚的操作による時系列解析システムの機能拡張について、日本統計学会、1997年 7月 予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

昨年度の研究において、統計数理研究所で開発された MS Windows版 TIMSAC72を UNIXに移植し、ユーザーインターフェースの改良を行った。その経験に基づき、プログラムおよびデータのオブジェクト化をすすめ、解析の履歴を中心とする GUIのプロトタイプを作成した。今年度もこの方向にした従って、データの操作の機能を加えながら、実用的なプログラムにしたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小林 郁典

徳島文理大学

田村 義保

統計数理研究所

山本 由和

徳島文理大学