昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−57

専門分類

6

研究課題名

数値予報の結果を利用した統計的天気予報手法の改善

フリガナ

代表者氏名

ヨシナガ ヤススケ

吉永 泰祐

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

予報部

職  名

予報官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年,社会の天気予報へのニーズは,時間的,空間的によりきめ細かい定量的なものとなっている。当庁ではこれに応えるべく府県予報区を2〜4程度に細分した地域に対し,降水確率予報を発表しているが,将来は大雨確率,大雪確率等への拡充を計画している。このため,統計数理に関する最新の知見及び適用にあたってのノーハウを研究する必要がある。


気象予測と統計学の多面に渡る関連の中で,この研究では「短期間予報」におけるかかわり,特に数値予報プログラムの出力を実際の「天気予報」に加工する「天気翻訳作業」の場面における統計学の新しい方法の利用について検討した。天気翻訳作業のうち確率予測に関係するものは,同じように扱うことができるが,「降雨確率」の推定を具体例としてとりあげた。
現在の降雨確率予報においては,数値予報で得られる大気の3次元的構造の「予報値」を説明変数とし,アメダスの観測にもとづく降雨の「有無」を目的変数とする線型重相関回帰式によって,予測が行われている。説明変数の選択は,50個ほどの仮予測因子の中から変数増加法によって「5個」を選んでいる。確率の予測値として,負の数や100%以上の値がでる場合があるが,そのような場合には,0%あるいは100%で打ち切った値が使われる。
この研究では,重回帰モデルにおける変数推定法として石黒(1985)により考察されているベイズ型重回帰の方法を,2値回帰に応用することが検討され雨の確率Pと説明変数x=(〓,〓,...,〓)の値を結びつける2値重回帰の式の係数をベイズ的に推定する方法が提案された。
パラメトリックな事前分布を利用する推定法であり,事前分布のパラメータはABIC最小化によって決められる。
実データを使った降雨確率の予測式の推定と予測の実験とを行った結果,この方法で構成された予測式による降雨確率の推定値が妥当であることが確認された。なお,この方法による推定値を検討すると,きわだった説明力を持つ少数の変数がなく,変数選択法に基づく現行の推定法を改善する可能性があると考えられる。今後の検討課題としたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

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研究実施計画
研究内容
気象庁の数値予報モデルの計算結果による大気の3次元的構造の予測値を説明変数とし,気象庁のアメダスの観測による降雨データを目的変数として,統計的手法による客観的天気予報技術の改善をはかる。
共同研究の必要性
貴研究所においてベイズ型ロジットモデルの応用研究が起こなわれており,その研究成果を当庁の統計的天気予報技術の向上のための応用技術確立のために共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

岩尾 尊徳

気象庁

坂元 慶行

統計数理研究所

滝 良二

気象庁