昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−92

専門分類

8

研究課題名

社会経済指標の理念と開発に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マツバラ ノゾミ

松原 望

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

教養学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

それ自体が強く,現代日本の社会・経済・政治的状況を表現(ないしは象徴)する統計指標を収集し,その指標自体の導出根拠,理念を探り,あわせて,記述統計学的分析を加える。


1.研究の視点の整理(2回)
社会経済指標(ソシオエコノミック・インディケーターズ)の開発はかつては高度福祉社会の達成を目的とする一つの観測系としてその基本的概念が設定された。それは,社会指標運動ともいうべき学問的活況を呈したが,大部分のものが行政統計資料の収集とそれへの多変量解析への直接的応用というものに終り,行政需要に対して間接的には答えたものの,学間的には多くのものを生み出したとはいえない。その原因として,
1.社会哲学的基礎の欠落:
「幸福」とは何かについての倫理学説(たとえば,ベンサム,ミル)についての無関心
2.観測変数の操作性に対する評価と反省の欠落:
原データが行政上の定義によるものという認識と,その元の意味に対する検討の不足(たとえば,デュルケームの「自殺」論)
3.結果が行動科学的ではない:
多変量解析の結果解釈が抽象的であって,日常的行動意識の次元に投射されていないために,有効性がない
4.分析上ターゲットとされている現象がない:
たとえば,「選挙行動」についての社会経済指標というように,ターゲットをしぼれば,1〜3の問題は緩和される。
2.ケース・スタディ(2回)
国政選挙における投票行動を規定する要因として,ダウンズの「イデオロギー」モデルを設定し,都道府県レベルの10系列のデータを多変量解析をした結果「自民党支持率を最も大くき規定する要因は結局は『持ち家率』である」との結論を得た。
3.成果(1回)
社会経済指標の概念に対する批判的検討が実質化され,今後の開発の要諦になるとの確信を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上述の例として,収集し体系化したものとして,「労働生産性指標」(日本生産性本部),「公安事件通常処理事件数」(警察庁調べ),「正月三ケ日初詣人数」(同)等の大略20年の時系列である。
まず,それぞれの分野の専門文献を調査し,そこで示唆されている統計指標があれば,それを収集し,あるいは加工し,あるいは,新規に基礎的な原指標から産出,作成する。
専門家の存在,専門文献,統計指標の具備,コンピューターの整備等の点から考えて,当研究所が最適である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

蒲島 邦夫

筑波大学

鈴木 達三

帝京平成大学

村上 征勝

統計数理研究所