平成16（2004）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	16−共研−2043			専門分類		7
研究課題名	生物統計学における科学的証拠生成のための研究方法の改善
フリガナ 代表者氏名	フジイ　ヨシノリ 藤井　良宜			ローマ字		Fujii Yoshinori
所属機関	宮崎大学
所属部局	教育文化学部
職　　名	助教授
所在地
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	10　人

研究目的と成果（経過）の概要

医学分野においては、EBM(Evidence based Medicine)という概念が広がり、臨床現場に
おける患者の治療を、科学的な根拠(Evidence)に基づいて適切に決定する必要性が再認識
されてきている。こうした流れを受けて、多くの医療関係者がEBMの実践を試みようとして
おり、その中心となる生物統計学の役割が重要視されている。
　本研究では、医療関係者と生物統計学研究者との共同作業を進めることによって、現在必
要とされる生物統計学的問題を明らかにするとともに、よりよい科学的証拠の生成を進める
ために必要な、新しい研究デザインの開発やその統計的分析の方法の改善を目的に、3年前
から継続的に研究を行ってきた。
　平成14年度から継続して、医療関係者との共同作業を推進するために、宮崎医科大学(現
宮崎大学)の公衆衛生講座や看護学科と連携して定期的にセミナーを実施してきた。このセ
ミナーを通して、内分泌攪乱物質の影響を調べる際の欠測データの取り扱いの問題や遺伝子
研究における　Hardy-Weinberg　平衡を検証するための方法での少数データの取り扱いなど、
新しい問題が浮かび上がってきている。また、医療関係者との連携の中で、コホート内患者
対照研究での対照選択デザインや職場コホートデータの分析方法などの問題についても研
究を進めている。
　これらの研究成果の一部は、統計関連学会連合大会での口頭発表を行っている。また、平
成17年3月に共研-2040　相対性を考慮した安全性評価の設計　と共同で公開研究会を開催し
た。この研究会に於いて、研究分担者のうち5名が口頭発表を行い、現在の研究の問題点や今後
の方向性について活発なディスカッションを行った。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
Fujii,Y.and T.Yanagimoto(2005)Pairwise conditional score functions:a generalization
of the Mantel-Haenszel estimator.Journal of Statistical Planning and Inference,
Vol.128,pp.1-325.
Fujii,Y.(2004)Inference based on P(X<Y)/P(X>Y)in two sample problems.Bulletin of
Informatics and Cybernetics,Vol.36,pp.137-145.
学会発表等
藤井良宜　Nested Case Control　研究での　pairwise　尤度に基づく推測、統計関連学会連合大会、
2004年9月
中尾裕之・藤井良宜　PCB類やダイオキシン類などの,一部欠測値が存在するトータルの曝露影
響評価、統計関連学会連合大会、2004年9月
藤井良宜　Hardy-Weinberg　平衡を検証するための統計的推測　共同研究　研究会「科学的根拠
を支える生物統計学」
柳本武美　多面的なリスクの認知に基づく判断　共同研究　研究会「科学的根拠を支える生物
統計学」
比江島欣慎　ネットワークを使った臨床研究におけるデータ管理　共同研究　研究会「科学的
根拠を支える生物統計学」
鶴田来美　労働者の運動行動と生活習慣病予防　共同研究　研究会「科学的根拠を支える生物
統計学」
中尾裕之　欠測値が存在するPCB類・ダイオキシン類の曝露影響評価　共同研究　研究会「科
学的根拠を支える生物統計学」

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

共研-2040　相対性を考慮した安全性評価の設計　と共同で研究会を開催した
テーマ:科学的根拠を支える生物統計学
開催期日:2005年3月4,5日
開催場所:統計数理研究所
参加者数:約30名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
五十嵐　久人	宮崎大学
和泉　志津恵	財団法人　放射線影響研究所
加藤　貴彦	宮崎大学
ジョン　B.　コローン	放射線影響研究所
鶴田　来美	宮崎大学
中尾　裕之	宮崎大学
比江島　欣慎	山梨大学
藤澤　洋徳	統計数理研究所
柳本　武美	統計数理研究所