平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−34

専門分類

3

研究課題名

非線形現象のシステム設計と予測解析の確率過程論的研究

フリガナ

代表者氏名

オカベ ヤスノリ

岡部 靖憲

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院工学系研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

KM20-ランジュヴァレ方程式論に基づく非線形時系列解析を時系列データに適用し、時系列データの定常性を検定し、その後に非線形予測問題の解決による因果解析を展開し、時系列データの背後に潜む非線形な構造を取り込んだモデルを必要条件として構築する。さらにそのモデルに基づく時系列データの予測解析を行う。


昨年度調べた(I,N)−定常性の概念をさらに精密一般化して、(O,N)−定常性の概念を導入し、それを完全に特徴付けた。これによってKM2O−ランジュヴァレ方程式論は非定常な確率過程を対象とすることができるようになった。理論の深さを掘り下げるのは次年度の課題としたい。
KM2O−ランジュヴァレ方程式論に基づいて時系列解析として、麻疹、水ぼうそうの疫病の時系列、TNF-αの塩基配列を扱った。麻疹、水ぼうそうは Sugihara-MayがNatureで前者はカオスで後者はカオスでなくランダムであると決定的時系列解析に基づいて結論付けていて、時系列の決定性の判定の大切さを訴えている。
そこで因果解析の応用として時系列の時間発展が決定的であるかランダムであるかの判定方法を求め、上記のデータにあてはめると、両方とも決定的である結論を得た。DNA塩基配列に対しては、A,T,G,Cという塩基配列を2つずつの組で同一視して2文字の時系列にして予測解析を行った。
木方氏によるDEV解析による結論に似かよった物理化学的性質がうかびあがってきた。専門的知識を深め、次年度に徹底的に調べたい。
〔研究会の場合 開催期間:1997年3月21日 開催場所:統計数理研究所〕


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Nonlinear time series analysis based upon the fluctuation-dissipation theorem, to appear on Proceeding of The Second World Congress of Nonlinear Analysists, Athens, 1996
On the theory of KM2O-Langeuin equations for stationary flows (I):characterization theorem,to be submitted in J,Math Soc Japan

Okabe, Y; 揺動散逸定理に基づく非線形時系列解析、非線形解析学者の2回世界コンフェアレス,アテネ,1996年7月12日
Okabe, Y; KM2O−ランジュヴァレ方程式論とウェーブレット変換,第5回複雑系札幌シンポジウム,札幌,1997年1月13日
Okabe, Y; KM2O−ランジュヴァレ方程式論とDNA塩基解析,統計数理研究所研究集会,東京,1997年3月21日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

非線形現象としての複雑系を表現するデータとして、太陽黒点・フレア・パルサー等の天文データ、エルニーニョ・気圧・気温・雨量等の気象データ、マネサプライ・円の対ドルレート比等の景気変動を表す経済データ、脳波・DNA等の医学的データ、電力消費量・溶鉱炉等の工学的データを扱う。KM20-ランジュヴァレ方程式論に基づく非線形時系列解析には、モデル選択として、、赤池の情報量規準の考えを取り込んだエントロピー解析が行われる。ARモデルに基づく時系列解析は統計数理研究所で開発されたものであるが、生の時系列データに触れる研究所の方々との議論を行うことにより、実験数学としての非線形時系列解析を確率したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

金子 明人

北海道大学大学院

木方 行郎

石原産業株式会社

四方 義啓

名城大学

清水 良一

統計数理研究所

服部 元史

神戸大学

山根 敏志

東京大学大学院