平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−46

専門分類

6

研究課題名

極運動に対する大気励起の統計数理学的研究

フリガナ

代表者氏名

カネコ ヨシヒサ

金子 芳久

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

地球回転系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

極運動における季節内変動(10日から100日程度の周期変動)や約433日の周期を持つチャンドラー揺動などと,これらを励起していると考えられる大気や海洋の角運動量の変動との物理的関係を統計数理学的手法により明らかにする。


地球回転運動は地球の自転軸が空間固定軸にたいする運動である章動、自転軸の地球に対する運動である極運動と回転速度の変化を表す自転速度変動に大別され、さらに極運動は10日から100日程度の周期変動である季節内変動、1年の周期を持つ年周運動、約14ヵ月周期であるチャンドラー運動と10年以上の周期を持つ永年変化項がある。チャンドラー運動は振幅の大きい時期(1911年頃、1953年頃、1982年以後)と小さい時期(1927年頃)があり、これらのことは減衰運動であるチャンドラー運動がランダムな原因に依って励起されているためであるといわれている。その励起源として考えられるのは、大気や海洋の角運動量の変動、地震、その他の地球内部の変動がある。
本共同研究では、大気角運動量関数(AAM関数)とチャンドラー運動及び季節内変動の関係を調べた。1984年より現在までの気象庁(JMA)のデータから計算されたAAM関数と、同じ期間の超長基線電波干渉計による精度の良い極運動データ(IRISデータ)を使用した。さらに、補助的に1899年より1982年までの光学観測によるデータを使用した。長期間のデータである光学観測のデータに複素数周波数によるスペクトル解析(熊沢スペクトル解析)をする事により、チャンドラー運動のパラメーターである減衰係数と正確な周期を決定した。これらのパラメーターを使うことにより、IRISデータから励起関数を逆算した。ここで得られた励起関数はランダム性に強いデータとなった。この励起関数とデータとして独立なAAM関数とチャンドラー周期及び季節内変動の周期帯で平滑化されたコヒーレンスをお求め、AAM関数とチャンドラー運動の線形関係を調べた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

極運動の季節内変動は主に大気変動によって励起されていると考えられる。これを実証するために複素数周波数のクロススペクトル解析手法に基づいて,VLBIによる極運動のデータ(1982年以降)と気象庁のデータから計算された大気の角運動量(1983年以降)との関係を調べる。これにより大気角運動量データの適用限界などが確かめられる。同様のことをチャンドラー揺動の時間スケールにおいて行う。この研究のデータは時系列でありARモデルはAICによって決定される。時系列解析に於いて常に先端的研究を行っている統計数理研究所との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

内藤 勲夫

国立天文台