平成19（2007）年度　若手短期集中型研究実施報告書

課題番号	19−共研−3009		分野分類			統計数理研究所内分野分類			i
						主要研究分野分類			5
研究課題名	抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータの開発
フリガナ 代表者氏名	タマノ　シンジ 玉野　真司				ローマ字		Tamano Shinji
所属機関	名古屋工業大学
所属部局	大学院工学研究科機能工学専攻（しくみ領域）
職　　名	助教
配分経費	研究費	40千円		旅　費		150千円		研究参加者数		4　人

研究目的と成果（経過）の概要

本研究目的は、界面活性剤添加ならびに壁面微細加工による抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータを開発し、その数値シミュレーションを実行することにより、抵抗低減メカニズムを解明することである。
「界面活性剤添加による抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータの開発」に関しては、まず、外部流れである乱流境界層の大規模数値シミュレーションのための数値計算コードを構築した。流入境界条件を求める方法として、壁乱流の速度対数則ならびに速度欠損則に基づく乱流境界層のリサイクル手法を用いた。界面活性剤のレオロジー効果を導入するために、GiesekusモデルならびにFENE-Pモデルに基づく構成方程式を使用した。開発した大規模数値シミュレータを用いて、統計数理研究所の大型計算機Altix3300およびSR11000による数値計算を実行した。レオロジー特性（せん断粘度、伸長粘度、第一・第二法線応力差）を変化させることにより、実験的研究では解明が非常に困難な抵抗低減効果とレオロジー特性との関係を詳細に調査した。特に、大きな抵抗低減効果を得るには、高い伸長粘度特性が重要であることを明らかにした。これらの研究成果は、学会発表（国内３回、国外１回）により公表した。
「壁面微細加工による抵抗低減壁乱流の大規模数値シミュレータの開発」に関しては、まず、内部流れである２平板間のチャネル乱流の数値シミュレーションのための数値計算コードを構築した。壁面の微細な凹凸形状を有する流れ場の解法には、座標変換なしに流れ場を求めることができるImmersed Boundary Method (IBM)を用いた。これにより、数値計算時間が短縮でき、複雑な微細構造の壁面を有する数値シミュレーションを容易に行えるようになった。壁面の微細構造として、異なる波長の溝とリブを有するものを対象とした。開発した大規模数値シミュレータを用いて、大型計算機Altix3300およびSR11000による数値計算を実行した。複数の波長の溝とリブを組み合わせることにより、抵抗低減効果が得られるレイノルズ数の範囲を広げることができる可能性を示した。この研究成果は、学会発表（国内１回）により公表した。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

学会発表

(1) 堀田慎太郎、玉野真司、伊藤基之、横田和彦、粘弾性流体の抵抗低減チャネル乱流に関する直接数値シミュレーション（構成方程式モデルの比較）、東海流体熱工学研究会 第43期講演会、2007.7。

(2) Shinji TAMANO, Motoyuki ITOH, and Kazuhiko YOKOTA, Effect of rheological parameters on drag-reducing turbulent boundary layer of viscoelastic fluid, Proceedings of the Fifth International Symposium of Turbulence and Shear Flow Phenomena, TU Munich, 27-29 August, 2007, Vol.2, pp.715-720.

(3) 堀田慎太郎、玉野真司、伊藤基之、横田和彦、粘弾性流体の抵抗低減壁乱流に関する直接数値シミュレーション、日本機会学会 第85期流体工学部門講演会、2007.11。

(4) 津田和弥、玉野真司、伊藤基之、横田和彦、フェンス型リブレットによる抵抗低減に関する直接数値シミュレーション（様々なピッチおよび高さの複合効果）、日本機会学会 第85期流体工学部門講演会、2007.11。

(5) 玉野真司、伊藤基之、堀田慎太郎、横田和彦、弾性流体の抵抗低減乱流境界層の直接数値シミュレーション：抵抗低減率の流れ方向変化、第21回数値流体力学シンポジウム、2007.12。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

該当無し。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
伊庭　幸人	統計数理研究所
津田　和弥	名古屋工業大学
堀田　慎太郎	名古屋工業大学