平成242012)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

24−共研−1022

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

4

研究課題名

複雑系のシミュレーションと統計理論

フリガナ

代表者氏名

カソノ カツミ

加園 克己

ローマ字

Kasono Katsumi

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

医学部医学科

職  名

講師

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的: 有限温度における液晶相や磁気相を、ある秩序状態から別の秩序状態へと緩和させる非平衡緩和シミュレーションを行う.これより,平衡状態における相転移点と臨界点上の物を,計算時間数に応じて,詳しく知る事ができる.
 2次元q状態ポッツ模型の q>4 において,臨界現象と非平衡緩和の計算を行い,クラスター間の相互作用を取り入れたマルチグリッド法の有効性を検証する.マルチグリッド法の有効性は,単独クラスター法によるモンテカルロ法との比較を行い,確かめる.
経過と成果: 2次元強磁性q状態(q>4)ポッツ模型は1次相転移を起こす.正方格子10状態ポッツ模型の転移点Tt付近において,マルチグリッドタイプのモンテカルロ法を行った.初期状態は秩序相より,無秩序相よりの 2タイプを選び,1つのグラフに描く.サイズ 8192x8192 の転移点上においては,磁化mの時間緩和曲線m(t)の収束は,単独クラスター法にくらべて数倍程度速い.ただしTt付近において,マルチグリッド法では,秩序相-無秩序相の間の遷移が,単独クラスター法に
比べて頻繁に観測されることが分かった.転移点において,単独クラスタ法では,秩序相-無秩序相の識別が明確であった(つまり磁気履歴を観察している).この性質を利用して,転移点や磁化の飛び量,潜熱を計算できた.マルチグリッド法では観測中に両相が容易に遷移を起こし,移り変わってしまう(磁気履歴の無い系の状態を観測できている).この場合,両相の混合状態(平均化したような状態)を観測するので,転移点や潜熱などを決定するには新たに工夫が必要になる.今後の課題である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

加園克己.マルチグリッド法による1次相転移点上の平衡状態探査時間.日本物理学会秋季大会.横浜,9月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小野 いく郎

東京工業大学

田村 義保

統計数理研究所