平成252013)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

25−共研−2002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

摂食制限に伴うヒトの末梢概日リズムおよびREM-NREMリズムの位相変化

フリガナ

代表者氏名

ニシヤマ ノブアキ

西山 宣昭

ローマ字

Nishiyama Nobuaki

所属機関

金沢大学

所属部局

大学教育開発・支援センター、自然科学研究科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

44千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 ヒトを含む多くの生物には、24時間周期の自励振動を発振する概日リズムが備わっている。この概日リズムは、複数の時計遺伝子の転写・翻訳のフィードバックループであり、この構成因子が多数の遺伝子の転写因子として機能しているため、代謝、免疫、循環系、睡眠・覚醒など様々な生理機能は24時間周期のリズムを持って変動している。哺乳類では、概日リズムの発振部位は、視床下部視交叉上核に存在しているが、視交叉上核以外の脳神経系、肝臓、心臓、腎臓、免疫細胞、繊維芽細胞など末梢の組織・細胞にも同一の時計遺伝子の発現制御に基づく末梢概日リズムが観察される。
 本研究では、ヒトにおける末梢の概日リズムの位相を非侵襲的に評価するために、頭皮脳波を連続測定し、摂食時刻に伴って概日リズムの位相および睡眠時のREM-NREMリズムの位相が変化するかどうかを調べた。摂食が概日リズムに影響を及ぼすことを示す実験知見がマウス等で明らかにされており、ヒトの概日リズムと摂食による位相変化を非侵襲的にモニターすることができれば、薬物による様々な疾患に対する時間治療に活用することができる。
 脳波測定においては、課題および測定について説明を行い、同意を得た被験者5名を対象とした。1チャネルの携帯型脳波計を用い、食事時刻を指示した上で24時間の連続測定を行った。0.5Hzから40Hzまでのデルタからガンマ帯域までについて、0.5Hzの刻みで、ウェーブレット変換によって脳波信号から瞬時強度および瞬時位相を分離し、瞬時強度の24時間の変化を調べた。その結果、デルタ波の成分に注目することによって、睡眠覚醒の24時間のリズムを容易に確認することができた。また、睡眠中の約90分の周期を持つREM-NREMリズムについても明瞭に確認することができた。5名について連続する2日の昼食の時刻を3時間変化させて、両者の間での概日リズムおよびREM-NREMリズムの位相変化の有無を調べた結果、有意は差を見出すことはできなかった。
 今後は、被験者数、測定日数を増やすとともに、摂食時刻の系統的に変化させて測定を行い、摂食時刻のリズム位相に対する影響をより詳細に調べる予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

現在、平成26年度日本生物物理学会年会での発表準備を行っている。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

三分一 史和

統計数理研究所