平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2039

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

多変量地理情報データの解析支援システムの開発

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ イクノリ

小林 郁典

ローマ字

Kobayashi, Ikunori

所属機関

徳島文理大学

所属部局

工学部環境システム工学科

職  名

講師

配分経費

研究費

40千円

旅 費

221千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地理情報データを解析する場合には、位置関係を考慮しながら解析を進めたり、位置関係がわかるように解析結果を表示したりしなければならない。しかしながら、位置関係をすべて数値化して解析データとして扱うことが難しいので、地理情報データの解析では解析者がもつ地理的な情報や経験が役に立つことが多い。したがって、これをシステムとしてうまく利用できる仕組みが要求される。また、汎用的な統計グラフで多変量地理情報データを視覚化する場合、データの地球表面上の位置関係がわかるように表示することがむずかしいという問題がある。
 そこで本研究では、これらの課題を解決する試みとして、多変量地理情報データを探索的に解析することができる視覚化機能をもつシステムの開発と、これを利用した解析手法を探ることが目的である。
 従来、地理情報データを解析する場合、各領域の位置関係が重要な要因となるため、ドットマップやコロプレスマップのような地図を基本としたグラフィックスを利用することが好まれてきた。しかしながら、地図の場合には、表現できる情報は条件付きコロプレスマップを利用した場合でもせいぜい3変数までである。それ以上の多変量データの場合には、利用者がなんらかの方法で変数の選択を行うことが必要となるが、変数が増えてくればその作業は大きな負担となる。そのために、われわれは、平行座標プロットのように多変量を同時に表示できる統計グラフィックスを、地図を基本としたグラフィックスと密接に連携して利用することにした。
 今年度の成果は次の通りである。多変量の地理情報データを視覚化する方法としては、各領域の位置関係を観察するために目的変数に対して2つの変数による条件付けを行える条件付きコロプレスマップと、多変量データをひとつの図上に表示することができる平行座標プロットを双方向に連携することが有効であることがわかった。これにより、解析の初期段階でデータの全体像を眺めたり、偏りや外れ値の有無を観察したりすることが地図を基本としたグラフィックスだけを利用するよりも容易にできることを実際の地理情報データを利用して理解することができた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

● 論文

(1) 連動する統計グラフィックスによる多変量地理情報データの視覚化, 小林郁典,山本由和,中野純司,Jung Jin Lee, 統計数理, 第55巻, 第1号, pp. 113-124 (2007)

● 学会発表

(1) Multivariate geographical data visualization with linked graphics, Ikunori Kobayashi, Junji Nakano, Yoshikazu Yamamoto and Jung Jin Lee, Bulletin of the International Statistical Institute 56th Session Proceedings (CD-ROM, Invited Paper Meeting 36) Lisbon (2007)
(2) 立体地形図上での地理情報データの視覚化, 石田健太郎, 小林郁典, 平成19年度電気関係学会四国支部連合大会講演論文集, pp. 289 (2007)

● ホームページ

http://jasp.ism.ac.jp/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Jung Jin Lee

Soong Sil University

石田 健太郎

徳島文理大学

児玉 知子

国立保健医療科学院

中野 純司

統計数理研究所