昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−8

専門分類

1

研究課題名

グラフ解析法の統計数理的基礎の研究

フリガナ

代表者氏名

ワキモト カズマサ

脇本 和昌

ローマ字

所属機関

岡山大学

所属部局

教養部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

統計グラフ解析法の数理的研究が今まで十分なされていないのは,k変量データ(k≧3)の2次元平面上への表示グラフに基づいて構成される統計量,統計モデルの数理的解釈の難しさに起因していることが前年度の研究でわかった。そこで,この研究では,公式的な解析法における各種統計量や統計モデルとグラフ解析法のそれを比較することによってグラフ手法の数理的解釈を一層はっきりさせることを目的とする。


グラフ表現を工夫することは,単に記述してみるということにとどまらないで,グラフから新しい統計量を導くことによって推定論や検定論を新たに展開することができて,その効果をいっそう高めることができる。それは,グラフ表現が,数式の運用では気がつかない発想を可能にすると考えられるからである。
この共同研究では,星座グラフ,連結線分図などに見られる“多変量データを方向をもつ線分に変換して結び合わせる”というグラフ表現を用いて,検定問題を考えてみた。この結果,提案する一,二の新しい検定量について議論して,グラフ表現の効用を示した。
まず,Linked Line Chartによる検定法について論議した。
母集団の分布関数を〓,ある定められた連続分布関数を〓とする。この母集団からの大きさnの独立な無作為標本を〓とするとき
帰無仮説〓
対立仮説〓
を検定する問題を考えた。
さて,〓を大きさの順に並べたものを,〓とし,標本累積分布関数を〓とする。
〓,〓,i=1,2,…,nとおくとき,この〓に基づく連結線分図により多角形をつくる。
つぎに,


(多角形の面積,U統計量)
とおいてこのSnを検定量と考え,仮説〓のもとでの漸近分布を求めた。
仮説〓の〓に対する検定量としては普通,Kolmogorov−SmirnovやCramejr−von Mises,Watsonなどが考えられているが,これらの検定量とSnの検定量の検出力を比較してみるとSnはWatsonの検定量に近いことが分かる。特にscaleに対しては,Snも,Watsonも他の検定量に比べて検出力が大きいことが分った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本統計学会誌
計算機統計学会誌
に発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度取扱った三角多項式グラフ,確率プロット,連続ベクトルグラフ,サンチャートなどのプロッティングから導かれる新しい推定量や検定量を従来から用いられている公式的解析法によるものと比較して,それらの性質や数理的解釈を明確にする。
統計数理研究所の馬場康維助教授の研究内容がグラフ解析法であるため,この共同研究が計画された。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

白旗 慎吾

大阪大学

馬場 康維

統計数理研究所