平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2004

専門分類

1

研究課題名

乱数生成法とその検定の研究

フリガナ

代表者氏名

ヤグチ ヒロタケ

谷口 礼偉

ローマ字

Yaguchi Hitotake

所属機関

三重大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

最近のスーパーコンピュータは、統計数理研究所のismaltxに見られるように大規模並列型が広く普及しつつある。一方で、擬似乱数を発生させる方法は、従来の単一計算機を念頭に開発されたものがそのまま使用されており、並列計算機の特徴(並列度が上がればそれだけ同一計算が速くなる)を十分に生かし切れているとは言い難い。
本研究は、従来からの線形合同法、M系列擬似乱数、メルセンヌツイスター法等とは異なる生成法、すなわちカオス写像を利用した擬似乱数生成法、ハイブリッド擬似乱数等を研究し、そのランダムネスの研究並びに、並列計算機上への実装の研究を目的としている。特に、カオス写像を利用した擬似乱数生成法(実数シフト法(SSR法))は、乱数を非再帰的に、すなわちk番目の乱数を直接生成するという、並列型計算機に適した新しい生成法である。また、この生成法は長い桁数を持つ乱数を生成することも可能であるので、情報セキュリティの観点から注目されているメッセージダイジェスト関数(ハッシュ関数)にも応用可能であり、この観点からの新たな研究の展開を行っている。
昨年度までの研究により、実数シフト法が生成する乱数値の分布は、カオス写像に対応するPerron-Frobenius作用素の不変密度関数の平均で記述されることが分かってきた。その結果、乱数特性の改良に対する見通しが非常に良くなり、分布の対称性を改良したY改良、カオス写像の初期値鋭敏性を利用したK改良法などが考案された。これら改良法に対して、ismaltx等により乱数特性の検定を行った結果、理論特性と数値実験特性に若干のずれがあることが分かったので、さらなる改良を行ない、新たなK改良法、X改良法としてSSR乱数生成法を洗練させた。これらの結果は、MCQMC 2006 において発表予定である。
実数シフト法のアルゴリズムを用いたハッシュ関数の研究については、昨年度までの共同研究において、ismaltx の64ビット整数演算機能を用いた多倍長整数四則演算ルーチンが作成されているので、本年度は、160ビット長のハッシュ値をもつSSIアルゴリズムの研究を行った。その成果は、当研究所のResearch Memorandum No.986 としてまとめられた。今後、さらに長い桁数を持つハッシュ関数の研究を行う予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究集会・学会発表・論文等

[1] 久保泉、谷口礼偉 「カオス写像で生成される疑似乱数の Perron-Frobenius 作用素による解析」
研究集会「エルゴード理論とその周辺」 2004年12月 大阪市立大学文化交流センターホール
[2] 高嶋惠三 「エルゴード理論と見本関数」 研究集会「エルゴード理論とその周辺」 
2004年12月 大阪市立大学文化交流センターホール
[3] 久保泉、谷口礼偉 「カオス写像で生成される疑似乱数の Perron-Frobenius 作用素による解析」
2005年3月 日本数学会・一般講演
[4] 谷口礼偉、上田澄江、高嶋惠三 「新しいハッシュ関数SSI160の構築」ISM Research Memorandum No. 986 2006年3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

高嶋 恵三

岡山理科大学