平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−11

専門分類

1

研究課題名

離散分布とその応用に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ヒラノ カツオミ

平野 勝臣

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

離散分布の基礎的,総合的研究を行う。分布間の相互関係,複雑な離散分布の確率関数や積率及び確率母関数等,分布の特性量を調べる。これらを利用して母数の推測に関する統計的手法を開発し,あわせて推測手法の性質を調べる。あてはめの事例やシステムの信頼性への応用等の研究の積み重ねをねらう。


申請した研究目的,実施計画に従って共同研究が行なわれた。研究内容に興味をもった柏木宣久氏が参加した。この研究に動機づけられて安芸氏はwaiting time problemsに関するいくつかの結果をまとめたがここではふれない。4名でまとめた結果の概略は以下の通り。
Lingのオーダーkの離散分布 成功の確率p(0<p<1)を持つ大きさnのベルヌーイ試行を〓,〓,…,〓,〓とするとき,〓の従う分布をオーダーkのタイプIIの二項分布といい,〓とかく(Ling(1988))。rを正の整数とし,試行数nを固定しないで〓がrの値をとるまでに要する試行数を〓とする。〓の従う分布をオーダーkのタイプIIIの負の二項分布といい,〓とかく(Ling(1989))。〓の分布を〓,確率生成母関数(pgf)を〓とかく。
Ling(1988)は〓のpgfの漸化式を与えた。我々はそれ陽の形で解いた(Th.2.2)。この解を用いて確率関数を陽の形で与えた(Th.2.3)。〓の漸近的性質は,ある定常過程がウィナー過程に収束する例となっている(Th.3.1,3.2)。
〓のpgfをLing(1989)より使いやすい形で与え,分散もより単純な形で与えた。また〓はオーダーkの幾何分布に基づく確率変数のr個の和として表される(Th.4.2)。この事実は,この分布のモーメントがオーダーkの幾何分布のモーメントから容易に求まることを示している。
q→0とrq→λ(>0)を保って,r→∞とすると,〓は〓に収束する(p+q=1)。この分布は平均λのポアソン分布の確率を{kj:j=0,1,2,…}上にとる分布である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hirano,K.,Aki,S.,Kashiwagi,N.and Kuboki,H.(1991),On Ling’s binomial and negative binomial distributions of order k,to appear in Statist.Probab.Lett.11.
Aki,S.Waiting time problems for a sequence of discrete random variables
(統計学関係の雑誌に投稿中)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

解析の複雑な離散分布を調べるうえで,分布が定義される確率構造から確率関数,積率,確率母関数等の漸化式を知ることは極めて有効である。数式処理を利用することも可能である。離散分布全体の鳥かんするために総覧する。これは他の分布との相互関係や,分布の拡張等に有効である。焦点をこれらに置いて作業をすすめる。研究参加者はオーダーkの離散分布の研究を組織的に共同で行っており,その発展性からも共同研究を継続することが望まれている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

大阪大学

久保木 久孝

電気通信大学