平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2008

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

実時間データ同化によるオーロラ活動度予報

フリガナ

代表者氏名

ミヨシ ヨシズミ

三好 由純

ローマ字

Miyoshi Yoshizumi

所属機関

名古屋大学

所属部局

宇宙地球環境研究所

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

25千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的:地球磁気圏では、太陽からのプラズマ流(太陽風)と地球磁場との相互作用によって、様々な電磁気現象が生起する。極地方に輝くオーロラはその相互作用の現れであり、太陽風の変化に伴って、その明るさや空間分布は大きく変化する。全球的なオーロラ活動度の指標として、オーロラに伴って流れる電離圏の電流を反映したAUやALと呼ばれる指数が古くから用いられている。過去の研究では、太陽風と磁気圏の相互作用を理解するために、太陽風中の磁場やプラズマ速度の経験関数としてAU/AL指数を表す、あるいは太陽風の各種データを入力としてAU/AL指数の時間発展を予測する試みも行われている。本研究では、Goertz et al.(1993)によって提案された太陽風電場を入力としてAU/AL指数の変動を予測するシミュレーションについて、そのシミュレーションで用いられているパラメータを状態変数ベクトルとして、またAU/AL指数を観測ベクトルとして用いたデータ同化を行うことで、オーロラ活動シミュレーションで用いられているパラメータの高精度予測を行うことを目的とする。また、リアルタイムのAU/AL指数を用いたデータ同化を行い、オーロラ活動シミュレーションのパラメータを実時間で推定し、その推定値と太陽風予測シミュレータが計算する太陽風電場の予測値を用いて、1週間先のオーロラ活動度変化を予報するシステムを構築することを目的とする。

成果:本研究では、AU/AL指数およびオーロラ活動指数シミュレーションコード中のパラメータを状態変数ベクトルに、観測されたAU/AL指数を観測ベクトルとする状態変数モデルにもとづいて、データ同化を行った。オーロラ活動指数のシミュレーションは、Goertz et al.(1993)によって提案されたものを用い、データ同化にあたっては、粒子フィルターならびに粒子スムーサーを用い、またMPIを用いて並列化計算を実施した。また予測精度の評価には、MAPE(Mean Absolute Percentage Error)を用い、MAPEが粒子数や、システムノイズの与え方にどのように依存しているかを評価した。データ同化によって、Goertz et al.(1993)で提案されたパラメータの推定を行い、その時間変化を調べたところ、これらのパラメータは季節や太陽活動度に依存して変化していることが明らかになった。Goertz et al.(1993)によれば、これらのパラメータは電離圏の電気伝導度に依存していることが指摘されており、季節や電気伝導度に応じた電離圏の電気伝導度の変化が抽出されたものと考えられる。
 また、開発したAU/AL指数のデータ同化コードを用いて、実時間でデータ同化を実現するシステムを構築した。ここでは、過去のAU/AL指数を観測ベクトルとしてデータ同化を行いパラメータを推定した後(HindCast)、HindCastによって推定されたパラメータを用いてオーロラ活動指数の予測(Forecast)を行うことで、オーロラ指数の予想を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山本 凌大、三好 由純、町田 忍、上野 玄太、能勢 正仁、宮下 幸長、塩田 大幸、 データ同化にもとづくオーロラ活動指数変動の推定、第140回地球電磁気・地球惑星圏学会
R. Yamamoto, Y. Miyoshi, S. Machida, G. Ueno, Y. Miyashita, M. Nose, D. Shiota, Data assimilation for AU index, 2016 AGU Fall Meeting
山本 凌大、データ同化を用いたオーロラ活動指数変動の予測システムの開発、平成28年度 名古屋大学大学院工学研究科修士論文

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

山本 凌大

名古屋大学