平成9（1997）年度　共同研究集会実施報告書

課題番号	9−共研−5			専門分類		2
研究課題名	核融合研究における数値解析手法と最適化
フリガナ 代表者氏名	カコ　タカシ 加古　孝			ローマ字
所属機関	電気通信大学
所属部局	電気通信学部
職　　名	教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	24　人

研究目的と成果（経過）の概要

制御核融合研究における、磁気流体モデルを始めとするモデルの構造を数理的に明らかにし、それを基礎に各種数値計算法の妥当性の検討、さらに融合炉の最適設計や最適化に関連する実際的計算法の確立を目指す。特に、国際核融合炉の設計と建設が現実化しようとしている現段階で、プラズマ核融合と応用数理という異なる分野の研究者の交流から新しい研究成果を生み出だし、この分野の今後の発展に寄与することが目的である。本研究会は平成５年度から７年度にわたり開催された研究会「ＭＨＤ数理モデルによる核融合計算と最適設計」の活動を継承し、平成８年度に、より広い観点から研究のさらなる進展を図かることを目指して企画された。


1998年3月5日から7日の3日間、当該分野の40名の研究者の参加を得て研究会を開催した。
今回の研究会は、本研究分野における数理的研究の草分け的な存在であるスイス連邦工科大学ローザンヌ校の Jacques RAPPAZ 教授の参加を得て記念すべき会合となった。
研究会では、核融合研究における磁気流体モデルを始めとする数理モデルを用いたプラズマの挙動の予測と制御に関する諸問題を検討し、もって制御熱核融合炉の最適設計に寄与することを目指し、21の講演をめぐって活発な討論が行われた。取り上げたテーマは以下に述べるようなものであった。
第1の研究テーマは、プラズマの平衡計算とそれに基づく安定性解析に関するものである。適切な磁気座標構築の問題や磁気流体（MHD）モデルに基づく線型安定化解析とそのプラズマ制御への応用が報告された。
第2のテーマは、運動論的モデルや粒子コードを用いた数値計算に関する話題である。豊富な新しい研究テーマが紹介された。第3のテーマは、流体や電磁気現象に対する新たな数値解法やシミュレーション手法の提案であり、ニューラルネットの数値計算への応用を始め、興味深い数々の話題の提供があった。
これまで数年間にわたる統計数理研究所における研究会活動を通して、制御熱核融合の研究において、信頼できる数値計算とそれに基づく最適化についての系統的な研究がますます必要とされているということを明らかにすることが出来たと考えている。
今後とも、この分野の研究に対し統計数理研究所から引き続くご支援をいただけることを願っている。
［研究会の場合　開催期間：1998.3.5-3.7　開催場所：統計数理研究所］

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

Deng, L. and Kako, T.: Finite element approximation of eigenvalue problem for a coupled vibration between acoustic field and plate, J. Compu. Math., 15 (1997) 265-278.
Deng, L., Kako,T. and Hagiwara, I.: 構造・音場固有ペアから連成固有ペアを誘導する手法の開発(第一報、有限摂動展開法からの誘導), 機論Ｃ編、63 (1997) 3446-3453.
統計数理研究所共同研究レポート105、MHD数理モデルによる核融合計算と最適設計、統計数理研究所、1997年2月28日.
千葉文浩、加古　孝：ニューマークのベータ法の安定性について、「数値計算のアルゴリズムの研究」研究集会、京都大学数理解析研究所 (1997.11.26).

研究参加者一覧
氏名	所属機関
五十嵐　一	北海道大学
生野　壮一郎	筑波大学大学院
石澤　明宏	日本原子力研究所
石村　直之	一橋大学
市口　勝治	核融合科学研究所
伊藤 聡	統計数理研究所
井戸村　泰宏	日本原子力研究所
今井　仁司	徳島大学
牛島　照夫	電気通信大学
川口　秀樹	北海道大学
河原田　秀夫	千葉大学
鈴木　貴	大阪大学
竹田　辰興	電気通信大学
田辺　國士	統計数理研究所
徳田　伸二	日本原子力研究所
等々力　二郎	核融合科学研究所
中村　祐司	京都大学
浜田　繁雄	日本大学
本間　利久	北海道大学
松本　太郎	日本原子力研究所
吉田　善章	東京大学
若谷　誠宏	京都大学
渡辺　二太	核融合科学研究所