平成302018)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

30−共研−2040

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

8

研究課題名

成長関数選択法による林分成長パターン分類に関する研究

フリガナ

代表者氏名

カモ ケンイチ

加茂 憲一

ローマ字

Kamo Ken-ichi

所属機関

札幌医科大学

所属部局

医療人育成センター

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

116千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

森林における立木の成長に関して、様々な成長パターンが混在しているような状況において、どのようなパターンが幾つ存在し、各立木がどのパターンに属するのかを判断する手法を探索する。「成長の挙動」とは、一般的に複雑なものであり、経時的にはシグモイドと呼ばれる非線形な挙動を示す一方で、土壌や環境といった外的要因の影響も受けて決定されるため、成長のメカニズムを数理的に表現することが必要となる。しかしながら、「成長のメカニズム」をシンプルに表現する指標等は見当たらず、成長は単純に数値化できないのが現状である。もし、成長パターンをシンプルな数値として凝縮することができれば、一般的に用いられるクラスタリングが適用できるが、成長パターンは数値化が困難であることから現実的でない。そこで、成長表現においてもっとも汎用的な成長関数に着目し、1つの成長関数が1つの成長パターンを表現しているものとし、立木ごとに最適な成長関数を決定することによる成長パターン分類を試みた。
 選択問題において多用される情報量規準を関数選択において用いるには工夫が必要である。例えばAICはモデルの複雑さをパラメータ数により評価しているが、関数の複雑さはパラメータ数で測れない場合(関数形自体が複雑)も存在する。そこで公差検証法およびCp規準について成長関数選択に適用できるように改良したものを用いて、実データの解析を行った。森林総研の有する68プロットのカラマツデータに対して、上記の情報量規準による成長パターンの分類を試みた。Zeide論文において用意されている12種類の成長関数の候補を用意し、それらの選択を行ったところ、8パターンに分類されるという結果が得られた。しかし、候補の成長関数同士には類似性(包含関係や共通部分を有するもの)を有するものが存在することに着目し、選択されたパターンを統合することにより、更に4パターンの分類にまで絞り込むことに成功した。各パターンを特徴付ける要因としては、若年段階の成長立ち上がり速度、シグモイドの変曲点の位置、観測時点内で既に成長上限に達しているか、の3点によるものの影響が大きかった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

K.Kamo. A new approach to classify growth patterns based on growth function selection and k-means method. FORMATH, 18, 1-13, 2019 (DOI: 10.15684/formath.18.003).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木島 真志

琉球大学

冨田 哲治

県立広島大学

吉本 敦

統計数理研究所