平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−34

専門分類

4

研究課題名

心理的ストレスと健康に関する統計的研究

フリガナ

代表者氏名

ハヤシ フミ

林 文

ローマ字

所属機関

東洋英和女学院大学

所属部局

人間科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現代社会において、社会や文化の心理的要因から受ける心理的ストレスの健康への影響が少なくないことが指摘されている。このような心理的ストレスの影響のダイナミックスの分析をめざすものであるが、本研究では、心理的ストレスを測定するために作成された調査票を完成させ、これをもとにストレスと健康との関係を探ることを目的とする。


ストレスを計る調査票として、アイゼンクのパーソナリティテストを日本で実用可能な形にすることが目的であった。ここ数年学生を使ったテストを通して翻訳版の適用の検討を繰り返してその妥当性、実用可能性がわかってきた。平成6年度は前年度に続いてこの実用化をめざし、テスト項目を削減した簡略版調査票の作成を試みた。
多くの項目で構成された調査票への回答からなされるパーソナリティの型分類を、より少ない項目で行うことができれば、テストを受ける側の負担が軽減されるので、この試みは、今後の心理的ストレスの影響のダイナミックスの分析を目指す上で大切である。簡略化の方法としては、数量化3類を使って、アイゼンクのいう4つのパーソナリティの分類を構造としてとらえることにより、項目を減らしてもその構造を保つような項目を試行錯誤的に抽出するというものである。
こうして約3分の1に削減された調査票について、学生対象にテストを試み、2回の回答の一致度の点では妥当であることがわかった。しかし、パーソナリティ分類はまだ不安定であり、また、これまで分析に使用したデータは学生であったため、一般化できるかの問題が残る。
本年度は実際の健康診断において、一般の人を対象にテストを試み分析している。妥当性についてはこれによるパーソナリティ分類とかかりやすい疾患との関係を実際に長年にわたって追跡しなけらばならない。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山岡和枝, 林 文, 林知己夫:調査票の持つ構造を保持した簡易化の試み--Eisenckのパーソナリティテストの日本語訳簡略版の作成--, 社会心理学研究,第10巻第2号,1995.1.31.
山岡和枝,小林廉毅「医療と社会の計量学」朝倉書店,1994.5.20.(PP.36-58)
Kazue Yamaoka and Fumi Hayashi: Questionnaire making under the Consistent Structure of Attitude, the 4th International Facet Theory Conference, 1993.8.31.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ストレスの受けとめかたによるパーソナリティのテストを翻訳した調査票で予備的調査データが得られ、ある程度の実用可能性がわかってきており、実用化の方法として、テスト項目を減らしてもなおパーソナリティの型分類が可能なものを作成することをめざす。本年度は、簡素化された調査票についての検討をすすめる。これを用いて、社会・文化的環境要因の違いによるストレスとストレスの受容の仕方の比較のための在米日系人調査、日本での一般調査も実施する。これらの調査は別組織として行われるが、本研究は、医学(公衆衛生学)統計的分析や、国民性調査、ハワイ・ブラジルの日系人調査、日米を含む5カ国調査などとの関連も深く、共同研究の必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

馬場 康維

統計数理研究所

林 知己夫

統計数理研究所

山岡 和枝

帝京大学

吉野 諒三

統計数理研究所