昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−61

専門分類

6

研究課題名

実データにおける擾乱源の性質と情報量規準の関係

フリガナ

代表者氏名

タムラ ヨシアキ

田村 良明

ローマ字

所属機関

国立天文台

所属部局

地球回転研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

データ解析におけるモデルの選択には情報量規準が用いられる。しかしながら,予期せぬ大きな擾乱作用あるいは物理過程の仮定そのものに誤りがあり,想定したモデルのバリエーションの範囲と実際の観測データが大きく食い違う場合,規準を用いても最適なモデルが選択されない可能性がある。
本研究では62年にひき続き,地球物理関係の資料を用い,擾乱源の性質と情報量規準の関係について研究を行う。


研究代表者田村良明が年度途中に,在外研究員として承認され,オーストラリアに出張中のため佐藤が報告する。
本研究は,従来我々が共同で開発してきた潮汐解析プログラムBAYTAP−Gの性能の向上と,そのプログラムでモデル化されている擾乱項の性質と情報量基準量との関係を調べる目的で行われた。
プログラムの性能向上としては,0.01μGalの測定感度を有する超伝導重力計による観測データが利用可能になったため,それに対応する解析精度を実現するための改良を行った。改良は主として理論値として使われる。潮汐ポテンシャルの精度向上をはかった。これにより,球関数展開で4次までの起潮力ポテンシャルを使った潮汐計算が可能になった。
BAYTAP−Gでは,各観測点でのドリフトを未知数としている。またモデルを構成する未知パラメータの最適値をABICを使い求める立場をとっている。このとき問題となるのは,観測値に含まれる気象的,人工的擾乱とドリフトとの区別が十分になされるか?また擾乱データについてもABICがモデル選択の指標として機能するか否か?と言う点である。合成データ,実データを使いこれらの点について調べた。その結果,擾乱原因が特定でき,かつ観測値への影響が比較的簡単な関数で表現できる場合には,観測値に大きなランダムノイズが含まれている場合でもドリフトとの分離ができること,またABICが正しいモデルを選択することが確められた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)‘BAYTAP−Gの新版公開について’,田村,佐藤,石黒,国立天文台水沢観測センター技報,第1号,1989年3月,pp74−77。
2)‘A procedure for tidal analysis with a Bayesian information criterion’,Y.Tamura,T.Sato,M.Ooe and M.Ishiguro,準備中


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)マルチチャンネル解析において,応答をとる人力データ間が独立でなく強い相関が見られる場合や,周期によって応答特性が大きく異なる場合,解析モデルのバリエーションの範囲が不十分な場合などに,モデルの選択に情報量規準(AIC,ABIC)を用いてもこれが有効に作用しない場合が考えられる。このような特殊な解釈が必要となる事例を集める。
(2)具体的な資料としては,気圧・気温変化などによる擾乱を受けている潮汐資料の解析をとおし,擾乱作用の物理的過程の解明,最適ラグ数の決定,および統計的性質の解析を行う。
(3)成果の具体的応用として,潮汐解析プログラムBAYTAP−G in TIMSAC 84の改良を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

佐藤 忠弘

国立天文台