昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−39

専門分類

5

研究課題名

幾何学的対称性に関する統計的分布

フリガナ

代表者氏名

イトウ ヨシアキ

伊藤 栄明

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

結晶における幾何学的対称性に関する統計的分布については球の充填あるいは楕円球の充填にもとづいたモデルが考えられる。また幾何学的構造を直接考えず,群とその表現にもとづいたモデルも考えられる。これらについて現実のデータと比較し,結晶構造について統計的モデルという観点からの理解をこころみる。


形状という質的なものの一面をとらえるものとして幾何学的対称性があり,これについては群論をもちいた記述が知られている。群,グラフを値としてとる確率分布,確率過程という問題について以前から研究を行なってきた。幾何学的対称性をもつ典型的な例として結晶構造がある。結晶の対称性を記述する32個の点群があり,現実の結晶についてその頻度を知ることができる。点群をランダムに生成する確率モデルを考え,現実のデータとの比較を行なった。幾何学的対称性について点群より詳しい記述法である230個の空間群があり現実のデータと空間群のランダムな生成の結果を比較するという課題がある。そのためには結晶構造についてのより深い考察が必要であり結晶学の研究者と統計数理の研究者との共同研究を行なった。データベースICSD等をもちいることにより様々な角度からこの問題を研究した。空間群をランダムに生成するという問題の次の段階として結晶構造をランダムに生成するという問題がある。グラフ理論,組みあわせ理論等におけるように結晶学においても,かぞえあげの問題についての理論的関心はあり,例えばスーパーコンピューターをもちいて,雲母の多型をかぞえあげるということがされている。かぞえあげだけにとどまらず,それぞれの場合についての確率を考えることが現実のデータを議論する上で必要でありこの問題について数値的な研究を行なった。またすべり面,らせん軸等の対称性をもつものがでやすいという事実について確率モデルをつくるこころみを行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Statistical Distribution on Crystal Groups(発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

幾何学的構造の統計的解析は重要な課題であり,統計数理研究所において以前から研究されている。本研究は結晶構造の研究者との協力により,結晶物質の対称性の統計的分布について現象のメカニズムにたちいったモデルをつくることを試みる。データベースICSDおよびマイカポリタイプのデータ等にもとづいて様々なモデルを検討し,結晶構造について統計的なモデルという立場から研究を行いたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 一政

高エネルギー加速器研究機構

武田 弘

千葉工業大学付属研究所

種村 正美

統計数理研究所

松本  生

金沢大学

山本 昭二

無機材質研究所