平成17（2005）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	17−共研−1020	専門分類	9
研究課題名	地球環境のリモートセンシングと統計的方法
フリガナ 代表者氏名	カシワギ　ノブヒサ 柏木　宣久	ローマ字	Kashiwagi Nobuhisa
所属機関	統計数理研究所
所属部局	データ科学研究系
職　　名	助教授
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研究目的と成果（経過）の概要

　環境を地球規模で計測するためにはリモートセンシングの技術が不可欠である。ただし、リモートセンシングにより直接観測できるのは、重畳した減衰・乱等の影響を受けた電磁波である。そのため、原像の回復はいわゆる逆問題となる。また、観測された電磁波と実際の現象との関係は必ずしも単純ではなく、理論式等により決定論的に記述できず、確率論的に記述しなければならない場合も多い。本研究では、地球環境計測の精度向上を目指し、リモートセンシングに現れる諸問題を解決するための統計的方法について検討している。
　全地球上の降雨を計測するため全球降雨観測計画が始動した。打ち上げられる衛星には共同研究者等により開発された降雨レーダーが搭載される予定で、マイクロ波の降雨散乱を利用して降雨強度を推定する。推定に際しては、雨滴粒径の確率分布が用いられており、推定精度向上には、雨滴粒径分布の同定精度向上が欠かせない。これに関連し、地上観測データとの比較検証を通じた分布の同定精度向上、更には降雨強度の時空間分布の同定等を試みた。また、マイクロ波は雨中を通過する間に減衰し、そのままでは降雨強度が過小評価されるため、減衰補正が行われている。これに関連し、ベイズ的な降雨強度推定法を開発すると共に、減衰補正の精度向上を試みた。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

・M. Kitano, K. Shimizu and S.H. Ong. The generalized Charlier series distribution as a distribution with two-step recursion, Statistics & Probability Letters, 75, 280-290, 2005.
・北野昌志・青山一基・清水邦夫．リスクモデルにおける離散確率分布の漸化式，統計数理（掲載予定）．

・青山一基・清水邦夫．逆三項分布の一般化，統計関連学会連合大会，2005年9月，広島．
・加藤昇吾・清水邦夫．Dependent models on two tori and cylinders，日本数学会，2005年9月，岡山大学．
・K. Shimizu, Statistical modelling for wind data, International Workshop on Modelling and Data Analysis in Environmetrics, Geostatistics and Related Areas, November 2005, Fukuoka.
・K. Shimizu and K. Aoyama, A generalization of the inverse trinomial distribution, International Statistics Conference: Statistics in the Technological Age, December 2005, Petaling Jaya, Malaysia.
・H-Y. Siew and K. Shimizu, Application of EM algorithm to t-distribution on the unit sphere, International Statistics Conference: Statistics in the Technological Age, December 2005, Petaling Jaya, Malaysia.
・S. Kato and K. Shimizu, Dependent models on two tori, cylinders and discs, International Statistics Conference: Statistics in the Technological Age, December 2005, Petaling Jaya, Malaysia.
・K. Shimizu, Circular distributions and their use in directional time series, Waseda Workshop 2006: Time Series Analysis and Its Related Topics, January 2006, Tokyo.
・阿部俊弘・清水邦夫．投影図法における円周上のt分布の生成，日本数学会，2006年3月，中央大学．
・加藤昇吾・清水邦夫．A circular-circular regression model，日本数学会，2006年3月，中央大学．

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研究参加者一覧
氏名	所属機関
井口　俊夫	情報通信研究機構
古津　年章	島根大学
清水　邦夫	慶應義塾大学
福地　一	情報通信研究機構