平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−63

専門分類

7

研究課題名

相同性解析に基づく全生物リボソ−ム蛋白種のコンパイル

フリガナ

代表者氏名

オオタカ エイコ

大鷹 英子

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

原爆放射能医学研究所

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生物界に普遍的に存在するリボソームは,生物種によって構成蛋白種数が異なり,その数は50〜80余種にものぼる。進化的解析に供されるとき,個々の蛋白種別に扱われるのが通例であるが,リボソーム全体として所定の形態を構築するが故に全構成種を通して解析の対象とする視点が重要である。相同性解析の各種手法に基づき相同蛋白種をコンパイルし,進化的解析の基礎となるデータベースを作成する。


前年度に引き続き、リボソーム蛋白質を対象とした分子進化学的解析を行う際の基礎資料を得ることを目的として研究を行った。国際的な遺伝情報データベースに登録されている約1200種のリボソーム蛋白質一次構造データの全てに対し、各種相同性解析のアルゴリズムを適用し、これらを大腸菌の55蛋白質に相同と考えられる55個のファミリー、および、大腸菌には相同なものが存在しないと考えられる45個のファミリー、にそれぞれ分類した。さらに、アミノ酸の物理化学的性質から推定される高次構造の類似度を指標として任意の2つの相同蛋白質の相似度マトリクスを構成し、これらをもとに全てのファミリーに関するアライメントを構築した。
その結果、以下に示すことが明らかとなった。(1)現時点における全てのファミリーの半数以上が、三大生物群にわたってその相同種をもつ、(2)多くのアライメントは、挿入、欠失、分子伸長等の変化を生じているものの、分子のN末端からC末端にかけてのほぼ一対一対応のパターンを示す、しかし分子内転座、二分子融合などの大きな変異も稀に見受けられる、(3)大幅な挿入、欠失、分子伸長などの変化は、三大生物群同士の間で見い出される、逆に、同一群のなかでは、アミノ酸置換が主たる変異の要因となっている。
一方、各ファミリーの中で、比較的データ数が多いものに関して、系統関係の推定、置換速度の推定などの分子系統学的解析を行い、いくつかの新しい知見を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Otaka,E.,Hashimoto,T.,and Mizuta,K.,The ribosomal proteins 1.An introduction to a compilation of the protein species equivalents from various organisms by a universal code system,Protein Sequences and Data Analysis, Vol.5,No.6,1993年12月
Otaka,E.,Hashimoto,T.,Mizuta,K.,and Suzuki.K.,The ribosomal proteins 2.Alignments of the equivalents of ribosomal large subunit proteins from Escherichia coli, compiled by a universal code system,Protein Sequences and Data Analysis,Vol.5,No.6,1993年12月
Otaka,E.,Hashimoto,T.,Mizuta,K.,and Suzuki.K.,The ribosomal proteins:Compilation of protein species equivalents from various organisms,based on evolutionary analysis. In:"The Translational Apparatus"(eds.K.H.Nierhaus,V.A.Erdmann, F.Franceschi,A.R.Subramanian,B.Wittmann-Liebold),Plenum Publ.Comp.,1993年10月
大鷹英子,橋本哲男,Universal Code System(UCS)による全生物リボソーム蛋白質の編集(その二),日本分子生物学会,1993年12月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度の共同研究により,大腸菌を代表とする原核生物群に存在する蛋白種に関して,ある時点のデータでのコンパイル作業を終了しアライメントデータベースが作成されたが,新たなデータの蓄積が多量にあるためこれらを含めてのコンパイル作業を継続していき,データベースの更新を行なう。
一方,原核生物群には存在しない蛋白種に関しては,相同性解析に基づき相同蛋白種を同定し,メタバクテリア群のみに存在するもの,真核生物群のみに存在するもの,あるいは,そのどちらにも存在するもの,の3つのグループ別にコンパイルを行なう。
相同性解析に関わる数値計算を始めとし,アライメント構築,データベースの作成に至るまでの作業を能率的に且つ混乱なく実行していく為には,統計数理研究所との共同研究体制が強く望まれる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

橋本 哲男

統計数理研究所