平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−56

専門分類

7

研究課題名

成人病の一要因としての肥満と食習慣・食生活との関連

フリガナ

代表者氏名

トヨカワ ヒロユキ

豊川 裕之

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

肥満は循環器系の成人病のリスク・ファクターであり、その原因として生活習慣が占める割合が大きいにも拘らず、肥満患者自身にとっては病識が少なく、高血圧症や糖尿病といった2次障害を引き起こさない限り、生活習慣(主に食習慣)を変えることは少ないという、現代においては最も深刻な問題の一つである。本研究では、肥満の食要因に着目し、肥満および肥満が原因とされる種々の成人病と食習慣・食生活との関連についての検討を試みる。


長野県の一農山村で実施した住民検診の受診者766名(男性312名,女性454名,平均年齢56.8歳)を対象として、住民検診の歳に行った食生活・食習慣に関する内容を含む生活習慣についての質問票調査調査の結果と、検診の測定項目として行った身体各部の皮下脂肪厚値との関連を検討した。なお、皮下脂肪厚の測定には申請者らが開発したAモード式超音波皮下脂肪厚計を用いた。この機械は従来までのキャリパーによる測定に比べ、精度が高く、信頼性が高い。
分析に際して、申請者らが既に有している日本人成人の性・年齢別の皮下脂肪厚の値を用いて対象を皮脂厚値により3群に分類し、各群間における生活習慣の相違を明らかにした。また、生活習慣については次元圧縮を目的として、数量化3類を行い、その際に得られた数量化得点を新たな変数として皮脂厚による分類した3群間の相違を明らかにした。
単純集計の結果としては、皮脂厚の厚い群では薄い群に比べ、男性では、生活が不規則であり、ストレスが多く、食べ過ぎることが多く、偏食があり、身体を動かすことが嫌いという傾向が得られ、女性では生活不規則で、食べ過ぎることが多いという傾向が認められた。また、趣味がない、睡眠不足、夜食・間食を摂る、喫煙、飲酒、運動習慣については、皮脂厚により分類した群間に相違は見られなかった。数量化3類により得られた数量化得点との関連については、生活習慣の悪さについての得点が、皮脂厚の厚い群で高くなっており、生活習慣と皮下脂肪厚との関連が示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

第61回日本民族衛生学会総会(平成8年11月,於岡山市)を予定

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

申請者らが、研究のフィールドとして長期に亙る観察を継続している、長野県上伊那郡長谷村の住民を対象として、食生活に関する質問票調査を実施する。なお、肥満の判定には身長・体重から算出する体格指数ではなく、「体内に脂肪が過剰に蓄積した状態」という肥満の定義に従い、皮下脂肪厚を用い、計測には信頼性が高いAモード式の超音波皮脂厚計を用いる。なお、食習慣については地域による影響が大きいと考えられるため、地域性についての比較対照として都内の健康保険組合の組合員を対象として同様な調査を行う。両地域から得られた対象について、皮下脂肪厚値により肥満群と正常群に分け、肥満群と性別・年齢をマッチングした対照群を作成し、患者・対照研究を実施する。本研究のデータ解析に際しては、食生活の質問が多岐に亙っているため、肥満の要因としての関連を明らかにするためには、単純な統計手法では不可能であり、多変量解析等の複雑にしてかつ高度な分析手法が要求されるため、統計数理研究所のスタッフの協力なしでは不可能である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

城川 美佳

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高柳 満喜子

東邦大学

中谷 弥栄子

東邦大学

西川 浩昭

筑波大学

松井 研一

東邦大学