平成172005)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

17−共研−1022

専門分類

3

研究課題名

座り心地に関する統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ミツヤ レイコ

三家 礼子

ローマ字

Mitsuya Reiko

所属機関

早稲田大学

所属部局

理工学術院

職  名

客員講師

所在地

TEL

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研究目的と成果(経過)の概要

椅子の座り心地は多様な概念を内包する。例えば座り心地は、椅子の寸法や形状、素材により変化する。こ
の変化を測る方法に物理量の測定がある。最近の研究として用いられているものに、体圧分布測定値、人体
や座面の押し込み硬さの測定値や座面、床におけるフォースプレートによる反力である。さらに座り心地と
の関連性について統計学的に確立されていない。本研究の目的は、これらの測定を繰り返すことによるデー
タの再現性を見出す方法を見つけ、その処理によって得られた結果と座り心地を示す主観評価との対応関係
を表す数理モデルを提案することである。
本年度、用いた測定器はフォースプレートと体圧測定器である。まずフォースプレートについて、反力を数
回から10回繰り返し同じ動作の座り込み時に測定したものに時系列解析を用いてデータの変換を行う。解析
の流れとしては、各生データを平滑化、平滑化データの交差相関をとり、交差相関により得られた結果で各
データのラグかリードを決定する。最後はラグかリードで変換されたデータの平均値をとり、時間的変化に
ずれのあるデータをひとつのデータとして表すことができた。このデータの変換法を用いて、座り心地に関
すデータを得るための実験を行った。この変換された反力データを応用して以下のことがフォースプレート
による測定で明らかになった。
1.座面抜きありなしによる座り込み時、座面反力の違い
結果:フォースプレートデータの時系列解析提案(日本人間工学会関東支部35回大会で発表)とぬき
のありなしによる反力の違いを見出した。
2.クッションの厚さ、硬さによる座面反力の特性
結果:クッション厚さ、硬さによる反力の大きな相違は見出せなかったが、傾向は得られた。重心動揺
の解析については板座とクッション座に違いがあった。
3.座面の大、小による座面反力の違い(実験椅子使用)(体重別)
結果:座面にかかる反力は体型別に、座面の大小で違いがあった。
4.座面の大、小による座面反力の違いを実際生活の中にある椅子で実験
結果:パチンコチェアと座面の大きなオフィスチェアを用いて実験を行ったが両者において3の結果と
同様に体型別に反力に違いがあった。
5.座面のクッション厚さ、硬さ、抜きありなしの各条件組み合わせによる座面反力と体圧分布との関係
(座り込みと座り込み終了安定時)を見て座り心地の予測の可能性を見出した。
次に体圧測定値は、適正座面高を予測するためにニューラルネットワークを用いて座面高の良し悪しを
判別するモデルを構築した。生データは人による違いを規格化するために、体圧マットの線形補間を行
い、対象性をもたせ、数値の標準化を行った。その後入力データとして体圧分布におけるセンサーの圧
力値で出力データは良し悪しの判定となる。この場合、体圧の良し悪しとは座面高が適正、やや低い、
やや高い、の3パターンである。構築したモデルの判定率は平均約68%でかなり有用性の高いものと
なった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文:
岸信介、三家礼子、野呂影勇、ニューラルネットワークを用いた適正座面高判定システムの構築、ヒュ
ーマンインターフェース学会誌、8(1)、151-156、2006。
学会発表:
1.三家礼子、成瀬哲哉、田村義保、野呂影勇、座面形状の違いによる着座反力の時系列解析,日本人間
工学会関東支部第35回大会講演集、2005.10。
2.三家礼子、成瀬哲哉、野呂影勇、フォースプレートによる椅子座面評価、人間工学会システム大会、
13、2006.3。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所

富田 豊

慶應義塾大学

野呂 影勇

早稲田大学