平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−96

専門分類

7

研究課題名

陸上脊椎動物の系統進化

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

陸上脊椎動物に属する両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の間の進化的関係、およびそれら内部における系統関係を、核およびミトコンドリアにコードされている各種の遺伝子構造データに基づいて統計的に検討することを目的とする。


多くの遺伝子のデータに基づき、爬虫類・鳥類・哺乳類の間の系統関係、単孔類・有袋類・真獣類の間の系統関係、真獣類における目の間の系統関係、クジラ目の起源と進化などの分子系統学上の具体的な問題を最尤法により検討し、いくつかの注目すべき新たな知見を得た。
また、具体的なデータ解析上の問題点として、1つの遺伝子に基づく結論の不安定性、アウトグループの相違が解析結果に及ぼす影響、系統樹のモデル依存性などを指摘した。
一方、ミトコンドリアDNAにコードされた蛋白質を用いて真獣類内部の系統関係を推定する際、ND1遺伝子の挙動が他と有意に異なるという点が明らかになったため、これをさらに多くのデータに基づいて再検討するために、さまざまな真獣類のND1に関する遺伝子解析を実施した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Milinkovitch, M.C., LeDuc, R.G., Adachi, J., Farnir, F., Georges, M. and Hasegawa, M.: Effects of character weighting and species sampling on phylogeny reconstruction: a case study based on DNA sequence data in cetaceans, Genetics,Vol. 144, 1817-1833, 1996.
長谷川政美, 足立淳: 哺乳類の系統進化---分子系統学からの問題提起, 科学, Vol. 66,323-326, 1996.
長谷川政美: カンガルーは単孔類か, 遺伝, Vol. 50, 11-12, 1996.
長谷川政美, 足立淳: 分子進化の機構, 「ホルモンの分子生物学序説」, 153-166, 1996.
曹纓, 岡田典弘, 竹中修, 長谷川政美: ミトコンドリア蛋白質による真獣類の系統学的研究,日本生化学会大会・日本分子生物学会年会 合同年会, 1996年8月.
曹纓, 岡田典弘, 竹中修, 長谷川政美: 哺乳類の系統進化, 日本遺伝学会大会, 1996年10月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

爬虫類、鳥類、哺乳類の間の系統関係を分子レベルのデータに基づいて明らかにするために、核およびミトコンドリアDNAにコードされている蛋白質のアミノ酸配列データによる分子系統学的解析を行う。爬虫類のデータは未だあまり多くないため、前年度に引き続き、ワニミトコンドリアDNAの遺伝子解析を実施してオリジナルデータを得る。一方、各種の遺伝子構造データの収集に努め、哺乳類、鳥類、爬虫類内部の系統関係の解析も継続して行う。分子系統樹の最尤推定に関する大規模計算を行うため、統計数理研究所での共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 淳

オックスフォード大学

釜石 隆

統計数理研究所

Cao Ying

統計数理研究所

矢野 隆昭

昭和大学