平成182006)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

18−共研−1006

専門分類

4

研究課題名

社会環境の変化に対応した新たな調査法の研究

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

MAEDA, Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

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E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は,各方面での実施頻度が高まっているWeb調査に着目し,他の自記式の調査法(主に郵送法)と比較した場合の特徴を,実験的調査のデータに基づき検討する。テーマの性格上,産学共同プロジェクトとして推進するものであり,平成17年度からの継続研究である。
本研究に参加する(株)博報堂,(株)東京サーベイ・リサーチの両社の協力を得て,平成16年度までに大別して2種類,平成17年度には1種類の実験的Web調査を実施した。これらの実験調査において取得したデータの解析が本研究の主要な材料である。
 本研究は,同じ自記式で実施されるが実査プロセスが異なるWeb調査と郵送調査の比較を主たる研究テーマとし,特に従来型の実施手段である郵送法を基準とした場合に,Web調査にどのような特徴があるのかを主な検討テーマとする。例えばWeb調査では実査条件の新たな側面として,対象者による回答行動のログを取ることができるといった利点が考えられるが,これらによってWeb調査から得られる情報の質がどのように従来型(特に郵送法)と異なるのか,従来型調査法との差を何らかの統計的な分析によって調整可能であるのかについての検討も行う。
 平成18年中の研究成果は次のようなものである。
 第1にいわゆる従来型の調査法すなわち無作為抽出された対象者に対する(面接法などによる)調査結果を,登録者集団に対するWebによる測定など有意抽出標本に対する調査で近似するための共変量調整の方法を検討した。ここでは有力な共変量の選択方法について検討している。
 第2に,平成17年度中に行った異なるパネル(登録者集団)に対するWeb調査間の結果の差と,平成16年度中に行った無作為抽出に由来する二つのパネルに対して2つの条件(郵送,Web)で実施した調査結果に対するこれまでの分析では,平成17年度のWeb調査結果間の差は異なるパネルでありながら概して小さく,こうしたパネルの構成は概して等質的である可能性が示唆された。
 第3に,特に平成17年度に複数パネルのWeb調査に関してログ解析を行うことを通じて,Web調査の品質管理につながる指標として,従来型の調査との共通点も多い回収率などの指標の他に,完答率(一度の中断や後戻りもなく回答を終了した回答者の割合),回答所要時間の分布を見ること,などの重要性を指摘することができた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

これまでの実験調査の結果を要約する資料は作成中である。
 部分的には次のような成果を発表している。

前田忠彦・大隅 昇 (2006) 「自記式調査における実査方式間の比較研究 ?ウェブ調査の特徴を調べるための実験的検討?」 ESTRELA No.143 (2006年2月号), 12-19.

大隅 昇 (2006) 「インターネット調査の抱える課題と今後の展開」 ESTRELA, No.143. (2006年2月号), 2-11.

星野崇宏・前田忠彦 (2006) 「傾向スコアを用いた補正法の有意抽出による標本調査への応用と共変量の選択法の提案」, 統計数理, 第54巻第1号, 191-206.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 下記3回実施した。いずれも研究グループメンバーおよび関連調査会社が参加したもので非公開の開催であった。
  [1] 2006年12月14日 「2006年度調査第1次報告会」 於 (株)博報堂, 11名.
  [2] 2007年1月25日  「2006年度調査第2次報告会準備会合」 於(株) 博報堂, 10名.
  [3] 2007年3月6日  「2006年度調査第2次報告会」 於 (株)博報堂, 22名.
     [3]のテーマは「Web調査方式による共同実験調査?2006年3月実施?結果報告」

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上嶋 幸則

(株)博報堂

大隅 昇

統計数理研究所

志賀 直生

(株)東京サーベイ・リサーチ

瀧中 勢子

(株)東京サーベイ・リサーチ

中島 一郎

(株)博報堂

中田 清

(株)博報堂

中谷 吉孝

(株)博報堂

野田 善治

(株)東京サーベイ・リサーチ

簑原 勝史

(株)東京サーベイ・リサーチ

吉村 宰

長崎大学

渡會 隆

(株)東京サーベイ・リサーチ