平成262014)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

26−共研−4107

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

7

研究課題名

地域金融機関貸出が地域産業へ与える効果に関する統計的分析

重点テーマ

ファイナンスリスクのモデリングと制御

フリガナ

代表者氏名

コン ヨシノリ

今 喜典

ローマ字

Kon Yoshinori

所属機関

公益財団法人21あおもり産業総合支援センター

所属部局

公益財団法人21あおもり産業総合支援センター

職  名

理事長

配分経費

研究費

40千円

旅 費

71千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、地域金融機関貸出の業種別構成と地域の産業構成の関係を統計的に分析し、地域金融機関の貸出が産業間の資金配分の効率化にどのようにかかわるかを実証的に検討するための基礎的事実を整理することを一つの目的としている。
 研究では金融機関のディスクロージャー情報から得られる融資の産業別残高や信用リスク情報を利用する。特色は、金融機関貸出の産業別構成についての検討において、地域の産業構成と個別金融機関貸出の業種構成を比較することである。地域内の各金融機関の業種別貸出残高構成比と当該地域の産業活動構成比を比較し、そのギャップに注目する
 平成25年度の研究においては、地域銀行については、地方銀行に注目し、その中で本店所在都道府県域内での地銀融資比率が十分に高い道県にサンプルを限定して、その業種別構成比を利用した。公表データの業種別融資の業種の中で、個人、地方公共団体を除く産業部門についての融資比率を計算した。地域の産業構成については都道府県を単位地域とみなし、『県民経済計算年報』のうち民間に属する産業をとりあげ、その構成比を計算した。
 両者を対照させることにより、業種ごとの地域における産業活動比率と融資比率の対応関係の特徴および二つの比率のギャップの程度を明瞭に観察することができた。さらに、地方銀行ごとのギャップの程度と当該地方銀行の不良債権比率を回帰させることにより、ギャップの程度が大きい銀行のリスク債権比率は小さいという結果が得られた。これは産業の地域平均構成比率からかい離して、融資を重点的に良い産業に貸し出すと、リスクは低下していること、すなわち、選択的に融資する産業を選んでいる銀行がリスクを管理できていることを示唆する。
平成26年度は、地域金融機関として地方銀行に次ぐ規模の貸出を行っている業態である「第二地方銀行」に注目した。利用するデータ項目、ギャップ概念は平成25年度の研究と同じである。第二地方銀行に関しては、ディスクロージャー誌で入手できるデータが少ない(ホームページにおいてディスクロージャー誌公表年数が短期間である金融機関が多い)ため、得られる結果は暫定的なものとならざるを得ないが、地方銀行の場合に比して、明確な特徴はあらわれていないケースが多いことがわかった。第二地方銀行は地域において二番手以降の金融機関であるケースが多いため、融資先業種がトップ行と競合しないように選択されている可能性がある。今後、データを拡張して、この違いの生じる理由等をさらに検討する必要がある。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

当該研究に関しては論文発表、学期発表はありません。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

当該研究に関しては研究会は実施していません。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤

東京大学

土屋 隆裕

統計数理研究所