平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−56

専門分類

7

研究課題名

顎口腔機能と不正咬合状態との相互関連性の検討

フリガナ

代表者氏名

ソウマ クニミチ

相馬 邦道

ローマ字

所属機関

東京医科歯科大学

所属部局

歯学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

個性正常咬合の確立をめざす歯科矯正学において、各種不正咬合における顎口腔機能と、咬合を構成する歯、顎骨、軟組織等の形態との相互関連性を明確にし、その病因論的因果関係を解明することは重要である。これら機能と形態の諸要素に対して統計数理学的観点から検討を行うことにより、歯科矯正臨床に対し有効な情報を与えることを本研究の目的とする。


本研究は、昭和62年より東京医科歯科大学歯学部歯科矯正学第一講座所蔵の不正咬合者および正常咬合者のデータを基に、咬合の成因に対する形態的因子の関与について、主に多変量解析を用いて検討する事により進められ、一連の成果を挙げてきた。
本年度はさらに一歩進め、本講座において従来より蓄積されてきた顎口腔機能データと不正咬合状態を構成する歯、顎骨、軟組織等の形態データに対し、数理統計学的アプローチを行うことにより、さらに詳細な諸要素の相互関連性を検討することを目的とした。
すなわち、1.咀嚼時に重要な役割を示すと言われる第一大臼歯に着目し、噛みしめ時における上顎第一大臼歯の変位を不正咬合者を対象として検討を行った。2.咀嚼筋の反射性制御に関与する下顎張反射に着目し、開口量と噛みしめ強さに伴う反射の興奮性の変化に対して検討を行った。3.咀嚼機能のひとつである咬合力に着目し、種々の顎顔面形態を持つ不正咬合者を対象として検討を行った。
その結果、上顎第一大臼歯の変位、下顎張反射の興奮性ならびに咬合力の重心の経時的変動は、それぞれの不正咬合者の顎顔面蓋形態、咀嚼筋の機能や咬合接触状態等の顎口腔機能を反映していることが示唆された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

N. Nakazawa, Y. Fujita, S. Hasegawa and K. Soma: Displacement of the maxillary first molar in malocclusion during clenching. 日本矯正歯科学会雑誌、第57巻第3号 1998年5月
E. Fukuyama, Y. Fujita and K. soma: Changes in jaw-jerk on different levels of jaw closure and teeth-clenching in humans. Journal of Oral Rehabilitation 投稿中

N. Shinozaki, K.Soma: The Occlusal Force Changing Momentarily with the Increase of the Voluntary Clenching and its Relation to the Stomatognatic Function. Third World Congress of Biomechanics. 札幌,1998年8月3日発表

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究代表者らの所属する講座には、矯正歯科外来患者の資料として、過去 30 年間、20,000 症例におよぶ、治療前後の咬合模型、頭部X線規格写真、顔面、口腔内写真の形態資料に加えて、咀嚼筋活動、顎運動、歯の微小変位、咬合圧、全身姿勢等の機能検査資料が蓄積されてきている。今回、研究代表者らは、このような膨大かつ貴重な記録資料に対し、近年の先進的な統計数理学的アプローチにより、詳細な諸要素の相互関連性の検討を行うことを計画している。これにより、矯正臨床における種々の不正咬合の診断や治療目標に、より科学的な指針を与えることが可能になると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飯田 順一郎

東京医科歯科大学

石田 哲也

東京医科歯科大学

杉浦 成昭

筑波大学

杉山 高一

中央大学

馬場 康維

統計数理研究所

福山 英治

東京医科歯科大学大学院

藤田 幸弘

東京医科歯科大学