平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2035

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

9

研究課題名

手段的日常生活動作を含んだ包括的情報を病院で測定・評価する際の問題点と改善法の検討

フリガナ

代表者氏名

トミタ ナオキ

冨田 尚希

ローマ字

Tomita Naoki

所属機関

東北大学加齢医学研究所(東北大学病院)

所属部局

老年医学分野(老年科)

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

24千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

高齢患者は、医療機関を受診する主たる原因である「主病」以外に、複数の問題点を同時に抱えていることが多い。このため、主病に関する情報収集だけでは十分でなく、高齢患者が抱えやすい問題点全体のスクリーニングを行い、主病に関して収集した情報に追加し、問題点全体の俯瞰をしながら診療をすすめる必要がある。しかし実際には、主病以外の問題点についての情報収集にあまり多くの時間や労力を割くことは難しい。患者自身やその関係者から、必要な情報を自記式調査票を用いて収集することが精度よく行えるようにすることが解決策となる。本課題は、高齢患者やその同伴者が求められる情報に関して精度良い回答をしてもらうことを可能にすることを目的とするものである。

高齢患者に実際に自記式調査票を回答していただきながら、回答しやすい文面やデザインについての検討を行った。回答した高齢患者からの直接の意見と得られた回答内容から、改善点を模索した。

本研究課題実施の結果、以下の2点について、より一般的に検討すべきであることが明らかとなった。

1.複数回答(MA)の設問は文面をいくら簡素にしても、回答精度が上がらない
2.回答内容に応じて次の回答箇所を分岐させてもその通りにすすみにくい。

1について、MA設問は一般的に回答精度が悪くなるといわれている。Single answer(SA)の設問にすべきと一般的に言われている。しかし高齢患者は、それ以前の年代に比べ、収集すべき情報が多く、それらをすべてSA回答方式の設問にすると、設問の数が多くなりすぎる。回答精度を高めるための適切な工夫をすればMA回答の回答精度を高められるのではないかと考えた。

また2について、「矢印」の活用が一般的に推奨されている。しかし、実際に矢印をつけてもその通りに回答が得られないケースが多くみられた。矢印の効果について、高齢者では改めて検討が必要であると思われた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究課題実施の結果明らかになった課題2点について、視線追跡装置を用いて高齢者の回答精度を高められているかの追加検討を行う計画を立てた。計画については、現在東北大学医学部倫理委員会に「回答しやすい自記式調査票デザインの研究:視線追跡実験による検討」として申請しており、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の議事録に検討されたことが記載されている。(med.tohoku.ac.jp/public/rinri/index.html)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会を開催するまで

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

土屋 隆裕

統計数理研究所