平成232011)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

23−共研−2019

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

発達研究における縦断的データ解析上の諸問題

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

Maeda Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

249千円

研究参加者数

9 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[目的とこれまでの経過]
 本研究は,科学技術振興機構(JST) 社会技術研究開発センターの「脳科学と社会」研究開発領域の計画型研究開発として推進された「日本における子供の認知・行動発達に影響を与える要因の解明」(研究開発期間 平成16年度〜平成20年度;以下このプロジェクトをJCSと略記する)で取得された縦断型のデータに適した統計解析の方法を研究し,実際に発達コホート研究の分析成果として公表していくことを目的としていた。
 JCSのプロジェクトは平成17年度から実際に乳児と幼児の2群を設定した前向き(コホート)研究としてスタートし,2群のデータを含んでいる。データは幅広い変数を含んでおり,構造も大変複雑なものになっている。測定時点は乳児4時点(一部5時点),幼児4時点まで平成20年度末で完了した。いわゆる追跡期間中の脱落による欠測も発生している。
 本研究では上記のように複雑で多様な変数を含む縦断型調査のデータから適切に情報を引き出し,研究仮説に対する回答を引き出すための統計解析方法論を検討し,実際の適用を通じて発達コホート研究の成果として公表することを目指すものである。
 平成20年度に観察を終了したプロジェクト後の2年間は,JCS委員会の名称の下で科学技術振興機構内での研究が継続された。平成22年度末にこの研究終了に伴い,本研究課題の共同研究者2名を責任者として,コホート研究で取得した観察諸データのJSTからの譲渡が行われた。本共同研究課題においても,譲渡されたデータに基づく研究を行った。

[平成23年度の研究経過]
 年度の当初に,譲渡先(鳥取大学,武庫川女子大学)からデータを研究者に対して貸与する際のルール作りが行われた。その後はそのルールに基づき,共同研究者がデータの貸し出しを受け,各自研究を進めることになった。平成23年度は研究代表者の都合で,十分な会合を行う機会が持てず,統計的な方法論研究の面での進展は見られなかった。
 しかし,こうしたコホート研究の維持や他の類似研究の立ち上げに資する情報を提供することを目的として,本共同利用研究のメンバーが中心となったシンポジウム「コホート研究の現状と将来展望」を開催したので,「研究会」の項に記載する。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成23年の研究経過に対応する直接の出版成果はない。
平成21年度までの成果は,たとえば次のようなJournalのsupplementにとりまとめられている。
Journal of Epidemiology Vol. 20 (2010) , Supplement_II (日本疫学会), "Japan Children's Study 2004-2009, a Developmental Cohort Study of Early Childhood", ONLINE ISSN : 1349-9092
また,本課題に関連する比較的最近の報告として,下記がある。
独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター「脳科学と社会」研究開発領域 計画型研究開発2004年度〜2008年度「日本における子供の認知・行動発達に影響を与える要因の解明」 『すくすくコホート研究実践記録集』 科学技術振興機構,2011年3月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 下記のシンポジウムを開催した。特にプログラム4の登壇者は全て共同利用研究の研究分担者である。
シンポジウム「コホート研究の現状と将来展望」
日時:平成24年3月31日(土) 13時〜17時
会場:(独)科学技術振興機構 東京本部別館 1階ホール
主催:財団法人生存科学研究所
共催: (独)科学技術振興機構,統計数理研究所
参加者:107名
プログラム
総合司会 山縣然太朗 山梨大学教授、前JCS研究統括
1 開会の辞(13:00 - 13:05)
   青木 清 上智大学生命倫理研究所所長, 生存科学研究所理事長
2 特別講演(13:05 - 13:35)
   金澤 一郎 国際医療福祉大学大学院長, 元日本学術会議会長
    「施策提言に向けた総合的なコホート研究の必要性」
3 基調講演(13:35 - 14:05)
   小泉 英明 日立製作所役員待遇フェロー, 生存科学研究所理事
    「領域架橋と研究ガバナンスの方法」
4 シンポジウム(14:20 - 16:50)
  コホート研究の将来に向けて
   山縣然太朗 山梨大学教授, 前JCS研究統括
    「出生コホート研究の現状と意義」
   安梅 勅江 筑波大学教授, 前JCS研究統括補佐
    「すくすくコホート」研究デザイン開発と次世代活用 
   定藤 規弘 生理学研究所教授, 前JCS研究統括補佐
    「社会脳科学とコホート調査」
   小枝 達也 鳥取大学教授
    「発達障害支援と学校教育へのコホート活用可能性」
   指定発言
    河合 優年 武庫川女子大学教授
    前田 忠彦 情報・システム研究機構 統計数理研究所准教授
   パネル討議・質疑応答 JCSメンバー
5 閉会の辞(16:50 - 17:00)
   小泉 英明 日立製作所役員待遇フェロー, 生存科学研究所理事

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安梅 勅江

筑波大学

河合 優年

武庫川女子大学

川口 英夫

東洋大学

小枝 達也

鳥取大学

佐倉 統

東京大学

定藤 規弘

自然科学研究機構生理学研究所

山縣 然太朗

山梨大学

山川 紀子

国立病院機構三重中央医療センター