平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−19

専門分類

3

研究課題名

ディジタルシステムのモデル化と適応制御

フリガナ

代表者氏名

オオマツ シゲル

大松 繁

ローマ字

所属機関

大阪府立大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ディジタルシステムはコンピュータの普及につれてその重要性を増している。本研究はこのようにシステムの数式モデルの開発およびそこで得られたモデルを用いた適応制御系の設計とその応用について孝察することを目的としている。


大規模化・複雑化する制御対象に対し、部分的な故障やシステムの改編に対して耐性を持たせた制御系の構成を目的として、分散型適応制御系のモデル化と解析を行った。制御対象は、いくつかのサブシステムが干渉を介して相互に結合した分散システムとしてモデル化する。補償器のモデルは、各サブシステムのローカルな出力フィードバックと、各フィードバックゲインの大きさをローカルな情報だけに基づいた適応的に調整する適応機構からなる簡単なものである。
分散型適応制御では、分散安定化条件と各サブシステムのロバストハイゲイン安定化条件が満たされていれば、全システムを安定化できることがわかった。分散安定化条件は、分散型の制御で全システムを安定化できるための条件で、他のサブシステムからの干渉が入力部分に加わることを仮定している。ロバストハイゲイン安定化条件は、各サブシステムのフィードバックゲインを大きくすれば安定度が増すシステムであることを仮定している。
耐故障性の解析では、あるサブシステムの補償器の故障によりローカルな制御入力が 0になった場合でも、全システムの安定性が保証されるための条件を与えた。結果は、一つの安定なサブシステムの補償器が故障しても、他のサブシステムの補償器が適応的に補って、全システムの安定性を保証することがわかった。
ロバスト性の解析では、寄生要素が各サブシステムに存在して、安定化のための仮定が満足されない場合でも、局所的な有界性が示された。この解析によって、ローカルな閉ループでは、局所的にフィードバックゲインを大きくすれば安定度が増すような方向にフィードバックを設計しておけばよいということがわかる。すなわち,PID補償器などを各サブシステムの閉ループ内に挿入することが可能であることがわかる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

大松繁・Rubiyah Yusof ・ 篠原功一・堀田正明,多変数STCによる加熱シリンダの温度制御,システム制御情報学会論文誌,5・3,1992
池田建司・新誠一・北森俊行,分散型ハイゲイン適応制御系の構成と安定解析,計測自動制御学会論文集,28・5,1992(掲載予定)

池田建司・新誠一,分散型適応制御のロバスト性について,第12回適応制御シンポジウム,1992・1/31
池田建司・新誠一・北森俊行,分散型適応制御の耐故障性について,第3回自律分散システム・シンポジウム,1992・1/14

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究はディジタルデータを用いた物理モデルおよび統計モデルの作成法について検討し,制御に適した数式モデル化手法の開発を行う。さらに,得られた数式モデルに基づいた予測機構を導出し,予測値が目標値となるような最小分散制御方式の開発を行うとともにそれらの手法を適応制御問題の解析へ応用するとともに,実際の制御対象へ適用してその有効性を検証する。
不規則データのモデル化に関して,統計数理研究所には共同研究者の宮里氏をはじめとして多数の著名の研究者が居り,他方大学では種々の実験装置を有しているため,これらの共同研究者によって理論と応用のギャップを埋めることに寄与されると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

池田 建司

徳島大学

川上 博

徳島大学

宮里 義彦

統計数理研究所

宮本 定明

徳島大学