平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−2

専門分類

1

研究課題名

ランダムな媒質の中の確率過程の研究

フリガナ

代表者氏名

カワヅ キヨシ

河津 清

ローマ字

所属機関

山口大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

13 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

昨年度に続いてランダムな媒質の中のランダム・ウォークについての基礎研究を行います。昨年度は一次元のランダム・ウォークとその極限として,1次元拡散過程の研究に入ったので,今年度はその一般化と精密化の研究を行う。又,多次元状態空間での問題の設定化を急ぎたい。


平成元年4月から共同研究員の方々には本テーマに沿って夫々前年度からの研究の継続をして頂き,平成2年2月1日(木)〜2月3日(土)に研究集会を本研究所に於いて開催させて頂いた。本テーマに関しては世界的に興味を持たれている研究対象であるが,残念ながら飛躍的な研究成果は得られていない。将来の問題とせざるを得なくなった点が多いが,一次元空間の回帰的な場合については完全に解明出来てしまったと言って良い結果を得た。問題は多次元空間上の確率過程について将来集中的に解決せねばならない。研究集会での講演を中心に報告させて頂く。
(1)2月1日13:00〜15:00 河津によって次が報告された。
〓を独立な過程として与えたとき,a>0に対して

を考えるとき,〓,x>0とする。
Theorem 〓ならば
〓 a.e.
(2)2月1日15:20−16:50 千代廷大造(名大理)によって
“Localization of a two dimensional Random Walk with an attractive path interaction”(Bolthausen)の本テーマとの関連で二次元格子上の連続時間Random Walkの訪問点の数の極限解析((6)の講演と関係)の報告があった。
(3)2月2日10:00−12:00 田村要造(慶応理工)によって一次元Random Walk in random environmentのlocalization(河津・田村・田中)の報告があった。〓がdomain of attraction of α−stable distributionに属しているとき,〓をenvironmentにする一次元格子点上のrandom wolk{Y(n,ξ),n=0,1,2,…}に対して次の定理が成立つ。〓(あるstationary process).但し,ψはregularly varying function(exponent α).
(4)2月2日1:30−3:00 志賀徳造(東工大理)によって,Brownian excursionとmeasure valued branching processについて講演。random environmentの新しい研究面になると考えられる。
(5)2月2日3:20−4:50 田中洋(慶応理工)によって“Leiy過程のある種の時間反転について”の講演があった。random environmentでの確率過程の研究での重要な基礎になっている仕事。
(6)2月3日10:00−12:00 小谷真一(東大理)によって“Random Walk in Random mediaとsimple random wolkの重複度”について講演があった。多次元空間の中での重要な研究であるがSimple random walkとの比較で訪問回数の極限挙動が得られる可能性に止っている。
(7)2月3日13:30−15:00 高橋陽一郎(東大教養)によって“Large demiation”について,Capacityとの関連に報告があった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)Tanaka,H.(1989)“Time reversal of random walks in one−dimension”Tokyo Jour.of Math.vol.12.p.159−174.
(2)Tanaka,H.(1989)“A theorem of Pitman type for simple random walks on 〓”Tokyo Jour.of Mith.vol.12.p.235−240.
(3)Kawazu,K.(1989)“Diffusion process in random environment and related topics”Fifth Int.Vilnius Conf.on Prob.Theory and Math.Stat.vol.1.p.244−245.
(4)Kawazu,K.−Tamura,Y.−Tanaka,H.(to appear)“Localization of one−dimensional random walk in random environment”.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ランダムな媒質の中での確率過程のうち,ランダム・ウォークのGolosovの研究の一般化が相当な所迄進んでいるので,これをまとめること。又,各種過程の到達時間の分布の極限定理も得られ始めているので,これらの総覧をすること。
これらの分布が分っていないものについてはシュミレーションを行って解析を続けたい。
多次元状態空間上でのランダムな媒質について詳しく分析すること。独立同分布でないランダムな媒質との関係を具体的に研究すること。
上記の研究に際しては数理統計学と確率過程論の協力が必要であり,当研究所の清水教授との協同研究は大変重要であり,大型計算機は研究を推進してもらえるものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 完治

名古屋大学

内山 耕平

東京工業大学

小倉 幸雄

佐賀大学

小谷 真一

東京大学

志賀 徳造

東京工業大学

清水 良一

統計数理研究所

杉田 洋

九州大学

高橋 陽一郎

京都大学

田中 洋

慶應義塾大学

田村 要造

慶應義塾大学

千代延 大造

名古屋大学

長田 博文

東京大学