平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2064

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

4

研究課題名

第一原理量子モンテカルロ計算における物理乱数と擬似乱数の性能評価

フリガナ

代表者氏名

マエゾノ リョウ

前園 涼

ローマ字

Ryo Maezono

所属機関

北陸先端科学技術大学院大学

所属部局

情報科学研究科情報科学専攻

職  名

講師

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は,物理乱数列を用いた第一原理量子モンテカルロ(QMC)計算を実行し,その結果を参照して,(1) 代表的な擬似乱数生成法(PRNG)のパフォーマンス評価,(2) 大規模並列QMC計算で用いる各種並列化乱数アルゴリズムの評価を行うことを目的とする.(1)では擬似乱数列内の相関(系列内相関),(2)では各プロセッサ上での擬似乱数列間の相関(系列間相関)の有無を検証する.QMC法としては,変分モンテカルロ(VMC)法と拡散モンテカルロ(DMC)法の2つの手法を対象とする.
 本研究では,QMC計算を実行するためのプログラムパッケージとして,Cambridge大学Cavendish研究所のR.J. Needs教授のグループが開発・保守管理をしているCASINO(Fortran90)を利用した.本研究のQMC計算で比較・検討するPRNGとしては,RANLUX,MRG8,およびMersenne Twister (MT19937) の3種類である.これらのPRNGは,CASINOコードversion 1.8に実装していたが,同コードのヴァージョンアップに伴い,version3.0に再実装した.本研究で対象とするPRNGのパフォーマンス評価を行う基準として,物理乱数の結果を参照値とする.物理乱数列の生成は,貴研究所のAltix 3700(ismaltx4)に搭載されている16台の東芝製物理乱数発生ボードを用いる.プログラムレベルでは,Fortran用ライブラリーが用意されているので,CASINOコードの乱数生成モジュール部分に物理乱数用の読み込む関数を組み込む.現在,このプログラム実装を行っており,引き続き,平成22年度研究課題として実施中である.これらのプログラム実装により,擬似乱数列における系列相関が検証可能となる.また物理乱数と擬似乱数の両方に対して並列計算を実行するためのアルゴリズムをCASINOに実装している.
 本研究の計算対象となる物質は,水素原子であり,その試行波動関数としてパラメータを含む を用いたVMC計算を行った.この試行波動関数の場合には,全ての に対して解析解を求めることが可能であり,乱数性能を評価するための参照系としては最適である. とするテスト計算によれば,最も質の低いRANLUX-0では統計誤差の範囲を超えて間違った値が得られてしまうことが分かった.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・ 論文発表:なし
Kenta Hongo, Ryo Maezono, Kenichi Mirura,
""Random number generator tested o quantum Monte Carlo simulations"",
J. Comput. Chem. (in press), DOI: 10.1002/jcc.21509

・ 学会発表:
(1) 前園涼「量子モンテカルロ法電子状態計算における擬似乱数性能評価」統計数理研究所 共同研究集会“物理乱数・擬似乱数の発生法・検定法とその周辺”,2010年3月,東京

・ プレプリント:なし

・ ホームページ:
 http://homepage.mac.com/rmaezono/research/recentTopics.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

該当せず

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所

寺島 義晴

北陸先端科学技術大学院大学

本郷 研太

北陸先端科学技術大学院大学