平成162004)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

16−共研−13

専門分類

7

研究課題名

ProteinDFによるタンパク質全電子計算と統計解析の研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ フミトシ

佐藤 文俊

ローマ字

Sato Fumitoshi

所属機関

東京大学

所属部局

生産技術研究所

職  名

特任助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果の概要

申請者は、タンパク質のための量子化学計算プログラムProteinDFシステムの開発を
行っている。本プログラムは、Gauss型基底関数展開に基づいた密度汎関数法による、
世界初のタンパク質全電子計算が可能なプログラムである。本研究では、活性中心近傍
における生体触媒反応をはじめとする、量子論に基づくタンパク質の反応・機能解析を
行うことを目的とし、今年度は以下の研究について検討した。
 1.タンパク質第一原理ダイナミクスとその統計処理の研究
ProteinDFをベースにした第一原理分子動力学計算を行う。また、反応に関与するトラ
ジェクトリーを効率よく探索するための統計的手法について研究を行う。最終的に得ら
れたトラジェクトリーについては統計的な手法に基づいて解析を行い、熱力学的物理量
について検討を行う。
 2.タンパク質波動関数データベース作成と統計処理の研究
系統的にタンパク質を選出し、それらの全電子計算または構造最適化計算を行い、新規デー
タベースの構築を行う。大量の波動関数データの解析には、統計的手法に基づく新規プログ
ラムの開発が必須である。さらには本システムと既存のバイオインフォマティクスシステム
との連携を目指す。
 本年度は11月中旬から貴研究所の統計科学スーパーコンピュータシステム(Altix3700シ
ステム)を利用させて頂いた。利用した期間が短かったため十分な検討が行えたとは言えない
が、およそProteinDFシステムのテストを行うことができた。
 まず、貴研究所のAltixにおけるProteinDFプログラムの動作確認を行った。幾つかのサ
ンプルデータについて計算したところ、東大生研のAltixでの計算結果と大きく異なる結果
が得られた。この原因については、1月下旬にご連絡したが、intelコンパイラの障害であっ
た。その後の対策によりこの問題については解決しているが、現在もなお詳細に動作確認を
行っている。
 タンパク質第一原理ダイナミクスの研究として、ProteinDFをベースにした第一原理
分子動力学計算を行うためのプログラムを開発中である。テストプログラムの実行環境
として、Altixシステムを利用している。
 タンパク質波動関数データベース用のデータとして、ProteinDFシステムを使った幾
つかの50残基程度のタンパク質の全電子計算を行った。結果については、前述のテスト
に不安が残るため、まだデータベースには反映していない。今後、全電子計算を行うタ
ンパク質の規模、種類を拡大し、ある程度まとまった段階でデータベースを構築したい
と考えている。