平成232011)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

23−共研−22

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

CLSVOF法とGF法による矩形横溝を有する鉛直平板上を流下する凝縮液膜流の数値シミュレーション

フリガナ

代表者氏名

オオタ ケイイチ

太田 圭一

ローマ字

ota keiichi

所属機関

秋田大学大学院 工学資源学研究科

所属部局

足立研究室

職  名

大学院生 修士課程

 

 

研究目的と成果の概要

化石燃料の枯渇や地球温暖化問題に対処する方法として、海洋温度差発電や温泉水発電など中・低程度の温度差を利用する発電システムがある。これらのシステムでは、利用できる温度差レベルが小さいため、熱交換器の規模は膨大なものとなり、発電コストに直接関係する。そのため、熱交換器の性能がこれら新エネルギー開発の成否の鍵を握っていると言っても過言ではなく、熱交換器には特別な配慮や工夫を施すことが必要となる。

本研究で扱う凝縮液膜流れと熱輸送問題は、プレート式の蒸発器、吸収器および凝縮器などのモデルとなる問題であり、本研究は高効率な熱交換器の開発につながる可能性を持っており意義深い。工学的には伝熱を促進させる目的から平板上に微細加工を施すことが行われる。本研究では、微細加工を施した鉛直平板上を流れる凝縮液膜流の表面物性および熱輸送特性と微細加工の溝ピッチ等との関係を数値計算により明らかにすることが目的である。

そこで,プレート式潜熱回収型熱交換器のモデルとして,矩形横溝加工を施した鉛直平板を取り上げ,プレートに生じる凝縮液膜流を取り扱う.プレート伝熱面に横溝加工を施したことによる凝縮液膜の流動特性をCLSVOF(Coupled Level Set and Volume of Fluid)法とGF(Ghost Fluid)法を用いて解析し,流動特性と凝縮熱伝達との関係を調べる.GFM を導入すれば,気液界面における密度や粘性係数などのシャープな変化を捉えることでより現実に近い解を得ることができる.

本研究の計算プログラムでは、気相と液相が共存する気液二相流れを取り扱っており、気液界面が計算の進行につれて変化する移動境界値問題となっている。プログラム中では、この界面での位置決定や境界条件の設定等で複雑な条件分岐を行っており、そのことが並列化の阻害因子になっている。特に圧力に関するポアソン方程式の反復計算で、界面での境界条件を設定する必要があり、全体の約40%の計算時間を費やしている。この部分では並列化の効率が特に悪いので、高速化が今後の課題である。