昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−44

専門分類

5

研究課題名

セル・オートマトンの統計的性質

フリガナ

代表者氏名

カネコ クニヒコ

金子 邦彦

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

教養学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

自由度の大きい系の複雑さを捉えるために,セル・オートマトン及びそれを拡張したセル力学系を研究する。前年度までの研究では定性的側面はかなり明らかにされたので,今年度はそのような系の統計的性質を定量的に調べ,自由度の大きい乱流現象のようなデータを解析する手法の開発を目指す。具体的には,力学変数の分布関数やパワースペクトル,次元,データからの力学系再構成と統計学での予測理論の結合,統計力学の手法の拡張など。上の問題は,物理現象のみならず,コンピュータ設計,人工知能とも関連すると思われる。


前回に引続き,セル・オートマトン及びこれに関連するシステム(Coupled Map Latticeなど)を計算機シミュレーション等により調べた。
今回は,新しい現象の探索及び現実との関連の考察に加えて,システムの統計的性質を定量的に特徴付けることを試みた。また,これらのシステムの情報処理への応用についても研究した。
具体的には以下の通りである。
1.伝染病の確率セル・オートマトンモデルについて,前年に引き続き,計算機シミュレーションにより,性質を調べた。
シミュレーションデータをARモデルで処理して解析することを試みた。
また類似の確率オートマトンモデルについても研究した。成果は「統計数理」に投稿中である。
2.Coupled Map Latticeに対し,情報量にもとずくパターンダイナミックスの研究を行った。
また,Coupled Map Latticeで見られる新しい現象について研究した。
3.離散状態モデル及びCoupled Map Lattice的なモデルを用いた画像処理について予備的な研究を行った。
以上の他,京都大学等のグループと大自由度力学系に関して研究交流を行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

伊庭 研究会「パターン・運動・統計」(京都,基研,6月)
伊庭 日本物理学会 秋の分科会 10月
伊庭 「統計数理」(1988.No.1)投稿中


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度,上のテーマで申請し,大自由度の力学系の視点の他に,統計学からの視点(時系列解析やARモデル,AIC等)を持つことができ有用であった。残念なことに両方の視点を統合して,自由度の大きい非線形系のデータの解析の手法という段階に至ることができなかった。今年度は統数研の方々の統計学サイドからの意見をきいて,上の方向の実現を目指したい。前年は共同研究の一環として小規模の研究会を開き,物理のみならず情報理論,脳の理論の研究者と交流できた。今年度は自由度の大きい力学系の理論をつくることを目指すだけでなく,実際にコンピュータ設計やいろいろなネットワーク系への応用も目指したい。具体的には,セル・オートマトン及びその周辺のモデルの数値計算に基づくので,統数研の計算機も利用させていただきたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所